第十夜 森の緑とウサギのピンク
ブルゥとレッドが海を目指して通りがかった森の中でのことです。
二人は一人の猟師に出会いました。
猟師はとても珍しいピンクのウサギを捕まえていました。
きゅーきゅーきゅー
猟師に耳をつかまれたウサギは悲しい声を上げて泣いています。
レッドはそんなウサギの姿が可哀想になりました。
「待ってくれ、そのウサギはどうするんだ?」
「色はこんなでも、ウサギには違いない。毛皮を剥いで、焼いて食べるのさ」
きゅーきゅーきゅー
とてもいいタイミングで悲しそうなウサギの声が聞こえてしまいます。
レッドはたまらなくなって、思わず猟師の肩をがっしと掴みました。
「そのウサギを売ってくれ、金貨2枚でどうだ」
レッドの金貨は、剣を抜いた賞金にとブルゥがくれたものでした。
旅の準備のためにとくれたものでしたが、レッドは使わずに大事にとっていました。
その大事な金貨を、このピンクのウサギのために使おうと言うのです。
ブルゥは、そんなレッドが面白くてなりません。
結局、ウサギは金貨3枚と交換することになりました。
レッドがウサギを抱くと、判っているのか安心したように一声きゅうと啼きました。
「あああ!」
ウサギを抱いたレッドは驚きのあまり大きな声をあげました。
ブルゥはその声にびっくりしてレッドを振り返ります。
「どうした?」
「ウサギでピンクだからメスだと思ったのに、こいつ、オスだ!」
ブルゥは大きく笑いました。