第二夜 南の海の金の魚 第三夜 金の鱗とお姫さま
海はとても穏やかで、寄せる波も小さく穏やかでした。
王様は御自分の自慢のボートを沖へ漕ぎだし、釣り糸を垂れました。
程なくして、王様の釣り糸がぐんぐんと引っ張られました。どうやら大物がかかったみたいです。
一時間にも及ぶ格闘の末、釣り上げられたのは金色の魚です。王様を始め、舟に乗りあわせた家来達も目を疑うほどの美しさです。
「素晴らしい魚だ。この魚を王宮の池で飼うことにしよう」
王様は魚をお城へ持ち帰り、一番大きな池に放しました。
きらきら輝く金の鱗が太陽の光をはじいて、池の中で光りました。
ところがです!
金の魚は海の魚。池の中では生きられず、次の日の朝には死んでしまいました。
「魚には申し訳ないことをした。ちょっと考えれば解ることだったのに、死なせてしまった」
王様は悲しみました。
せめて思い出は取っておこうと、金の魚の鱗を、大事な宝箱に残して、お墓を立ててあげました。
第三夜 金の鱗とお姫さま
ある日の事です。王様が大事にしていた金の鱗をお姫さまが見つけました。
それはきらきら光って、お姫さまはとても欲しくなりました。
「お父様、あの金の鱗を少し分けてください。首飾りにしたいのです」
お姫さまのお願いに弱い王様は、少しだけならとお姫さまに金の鱗を譲ってあげました。
お姫さまは早速国一番の細工師に頼んで、素敵な首飾りを作ってもらいました。
首飾りはきらきらとお姫さまのことを照らします。
美しかったお姫さまが益々美しくなったようで、王様はちょっといい気分でした。
あの日、魚は死んでしまいましたが、金の鱗はお姫さまのお陰で生きているように見えたのです。