グダンジャの呪い
マダガスカル諸島より少し離れた位置にある小さな島
ネヴェベ島
この島の原住民、ミポポ族の間にはこんな伝説がある。
グダンジャの呪いにかかった者には災いがおこる、と…
ユウヤ『夢…か、ってか時間ヤバいしww』
ガバッ
そう言うなり、都内の高校に通う少年、桐原ユウヤは飛び起きた。
ユウヤ『なんだよwwグダンジャの呪いってw』
それは、実に奇妙な夢であった。
夢の中で気がつくと自分は老婆の前に立っており、延々とグダンジャの呪いなるものについての話をされる。ただそれだけの夢。
『ワニに食われる夢よりタチが悪いゼ…』
そう言うとユウヤは学校へ向かう支度をはじめた。
都内のマンションでのひとり暮らし。しかしそれはユウヤが憧れていたものとは全くかけ離れたものだった。
炊事洗濯をしてくれる美人なお姉さんはいないし、毎朝電話してくるお節介な幼なじみもいない。
ユウヤ『人生つまんねぇな』
そう吐き捨てたユウヤは、ひとり学校へと向かった。桐原ユウヤは孤独な少年だった。友達と呼べる存在もいない…。
そんなユウヤの心が黒く歪んだ闇に支配されるのはもはや時間の問題だった。
ユウヤ『俺、学校…行かなくてもいいんじゃねーの?行く意味なくね?』
その日、ユウヤははじめて学校をサボった。
ユウヤ『俺が何した!俺が何した!!どいつもこいつも俺のことバカにしやがって!!』
絶叫しながら走った。ただただ走った。どこに向かうわけでもなく。行くあてもなく。
プァー!!
ユウヤ『!?』
気づいた時には既に手遅れだった。
無意識のうちに、ユウヤは赤信号を飛び出してしまっていた。
ユウヤ『あ…』
グシャァアアア
通行人♀『きゃぁああああ』
ユウヤの体は自らの赤い血を、まるで翼のように纏い。多くの人々がみている中、肉塊と化した。
はじめから
そう
はじめから、である
ユウヤはこの世に生を受けたその瞬間に
グダンジャの呪いを受けていた。
その理由はわからないが、あえて言うならば
そういう運命のもとに生まれた、という表現が
最も適切である。
ミポポ族の言い伝え
グダンジャの呪い
もしかしたら、これを読んだあなたも
既にグダンジャの呪いにかかってしまっているかもしれない…。
完