第2話 初めての戦闘は唐突に
いきなりの戦闘とか……ちょっとハードすぎないっすかね!?
「グアアアアアアア!」
飛び散る唾液と、むき出しの牙。
顔こわ!! リアルすぎて気持ち悪いわ!!
こんな、命の危険を感じさせる生物に襲われるなんていう状況、人間……少なくとも日本人であればほぼ皆無だろう。突然訪れたこんな危機に、平然とした対応ができるわけもない。
でも、俺は異世界転移者だ。これがよくある異世界召喚なのか、あるいは神とか女神に呼ばれたのだとしたら、お決まりのごとく俺の能力は何らかの補正を受けていて、最強だとしてもおかしくない。
俺は意を決して、とっさにオークに向かって構えをとる。
右手をオークに向け、左手を腰のあたりで構える。空手の構え……中段構えだ。
「行くぞ……!」
まるで最強の格闘家(異世界とかゲーム風に言うならモンクとかか?)になったような気分で、俺はオークに立ち向かう。
ここで、俺の真の力が判明するはずだ。
俺はとりあえず一気に近づき、その足に正拳突きをお見舞いする。
「ふん!」
「ガアア…………」
「――~~痛っ!!」
硬っ!! 微塵も効いてないんだけど!?
これが力5の実力ってことですか……!? パラメータ誰かと間違ってないですかねこれ!!
「ガアアア!!」
だが、どうやら地味に痛みは感じたようで、オークは激昂するかのようにうなり声をあげる。そして、手に持ったこん棒を振り上げる。
オークの巨大な影が俺の身体を包み、一瞬にして薄暗くなる。
叩きつけ!? この攻撃を受け流し……受け……う――いや、こんなん、当たったら死――……!!
俺はとっさに命の危機を察知し、全力で後方へと飛びのき、木の根元へと転がり込む。振り下ろされたこん棒はドン!! っと鈍い音を立て、俺がさっきまでたっていた地面をへこませる。
「殺す気かよ!?」
あぶねえ、こんなの素手で止めたら死亡確定だろ……! チート能力とか言ってる場合じゃない、試す前に死んでしまう!! いきなりハードすぎるだろ、神様!!
しかし、オークの攻撃はそれで終わるはずはなかった。
木の根元に倒れこんだ俺に向かい、再度こん棒を振り上げる。
「ちょ……まてまてまてまて!! なんか……なんかないか!?」
とりあえず手をかざしてみるも、何の魔法も発動しない。
再度手の周りのステータスを開き、”生得魔法”に書かれた【回帰】と【解析】をタッチしてみようとするが、ただ空を切るだけだ。そういう使い方ではないらしい。
「くそ……! 避けられ――」
「ガアアアアアアア――」
瞬間、オークの動きが停止する。
それは意図的に止まったというよりは、まるで糸が切れたかのようだった。
一瞬、赤い閃光がオークの身体を斜めに走る。その直後、血が噴き出し、オークの上半身がズルリと地面に落ちる。
目の前には、斜めに切られた胴体と下半身だけが残された。
「えっ……?」
な、なんだ、何が起こった……?
そのオークは、完全に生命活動を停止していた。
すると、そのオークの背後から一人の人間が現れ、俺に手を差し伸べる。
「大丈夫かな、君。ケガはない?」
「え……っと」
そこには、金のロングヘアを靡かせ、薄い鎧を身にまとった神々しい美女が立っていた。その手には、剣が握られている。
「あっと……大丈夫です……はい」
助かった…………?
俺は女性の手を取り、ぐっと立ち上がる。
改めて女性の顔を見る。金髪碧眼。長いまつ毛に白い肌。まごうことなき美女だ。その姿は、どう考えても現代日本ではない。
すると、さっきのオーク同様、女性の横辺りにステータスが表示される。
力:60
俊敏:75
魔力:30
技巧:80
生得魔法:【反撃】【帰還】
……は!?
文字通り桁違いじゃねえか……!! 俺の10倍以上……!?
この女性は、俺のパンチを平然と受け止めたあのオークを、まるで蚊でも潰すかのように一太刀で殺して見せた。
もしかして……俺って別にこの世界の主人公ではないのでは……?
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