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孤児院で育った私が、伯爵家に養子として引き取られ薬学の道に進み、医学者として皆と研究し新薬を開発。まさに順風満帆な生活を送っていた。私たちが研究し開発した薬が、国民を助ける希望となる。そう思っていた。

まさか、引き取ってくれた伯爵家の人たちに濡れ衣を着せられ断罪されるまでは…。




「罪人アリスティアは帝国中に奇病を蔓延させ、帝国民及び皇帝陛下をころした罪状により斬首刑に処す!!」




「……は?」




“帝国中に奇病を蔓延させた”?

“帝国民と皇帝陛下をころした”?

“斬首刑”?


どういうこと?全く身に覚えがないし、そもそも医学者である私がそんなことをするわけがない。

亡くなった人々の中には家族のように大切な孤児院のみんながいた。私がそんなことするメリットがない。一体どうしてこんなことに?

そうだ、伯爵家の人たちなら私のことを弁明して助けてくれるはず。

チラリと伯爵家の人たちを見ると、皆私のことを見て



_________笑っていた。




どうして?どうしてみんな笑っているの?どうして誰も助けようとしてくれないの?

疑問と絶望が渦巻き、ふと皇族へと目をやる。

ああ、そういうことか。

皇族の目は濁り、口元は笑みを浮かべている。つまり、



_____伯爵家と皇族は繋がっていた。




私は伯爵家と皇族の人たちにまんまと嵌められたというわけだ。

最初っから伯爵家の人たちは私に罪をきせ、断罪する気でいたのだ。そのために私を養子にしたのか。

全ての理由がわかった今、怒りと諦めが同時に込み上げてくる。

ああ、もっと早くに気づいていれば…。後悔先に立たずとはまさにこのこと。もしもやり直せるとしたら、伯爵家と皇族の陰謀を阻止してたくさんの人たちを助けたい。

皇族への怒りと伯爵家への恨みを胸のウチに秘めながら、私の首は呆気なく打ち切られた。











_________はずだった。







「なんでわたしいきてるの?」




確かにあの時首を切られたはずなのに、今私の目の前に広がる光景は現実のものだ。

それも、過去で見たはずの景色。

「ここってこじいんのはず。どうして…」

訳も分からずキョロキョロと辺りを見渡す。

というか何やら違和感が…。違和感というのも、何やら目線の高さがおかしい。なんか低いような?周りのものが大きく見えるような??

目線を下に下げ、自身の手を見てみる。そこにあったのは小さくて丸っこい子供のような手だった。

「?なにこのちっちゃなおてて…。あれ、そういえばわたしってこんなこえだったっけ?」

自分の声なはずなのに、まるで子供みたいな呂律の回っていない未発達なような声……。

そこでハッとした私は、急いで立ち上がり窓辺へと駆け寄る。窓のガラスを覗き込むと、そこに映っていたのは小さな子供の女の子で、それは間違いなく幼少期の私だった。

「うそ、なにこれぇ。どうなってりゅの!?」

どうやら私、アリスティアは過去に戻ってきたようです。






「どうなってるのよ、これー!!」






______鳳暦237年白月(はくげつ)16の日(今現在)、私は過去へと回帰した。





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