〜Prologue〜 はじまりの酒
男が寝てる間に世界が異世界になっていた!!
そして、この男も•••。
異世界連続転生ファンタジー。
とある居酒屋の隅で、ふたりの男女が酒を酌み交わしていた。
男はかなり酔っていて、唐突にこんなことを聞いてきた。
「明日は、もう来ない……って、思ったことある?」
──私? うん、あるよ。全然。
「どんな時?」
(少し考えて)
うーん……
疲れたとき、とか。
あと、何かにつまずいてるとき、かな。
そういうときってね、
ちゃんと“栄養のあるもの”を摂ったほうがいいんだって。
野菜とか、果物とか。
固形のものがいいらしいよ。
「……へえ、詳しいね。
でもさ、食べられないときはどうすればいいの?」
(少し笑って)
──そんなときは、無理しないで。
スープとか、ジュースとか。
少しでもいいから、栄養を入れてあげるといいんだって。
それだけでも、
体ってちゃんと反応してくれるんだよ。
「へえ……」
男はグラスを傾けながら、小さくつぶやいた。
──よく知ってるねぇ。
ふと、どちらからともなく笑い合った。
居酒屋の夜は、まだ静かに続いていた。
(彼女が、ふと思い出したようにポケットを探る)
──あ、そうだ。これ、あげる。
手のひらには、小さな何か。
それをそっと、男に差し出す。
──酔い止め。
『それ』だけは、食べて寝なよ。
また明日、仕事でしょ? 元気出してね。
彼女はにこっと笑って、
ふわりと席を立った。
そして、静かに居酒屋をあとにした。
更科金魚です。
はじめて投稿いたします。
不束者ですがよろしくお願いします。