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静寂を裂く光——勇者再臨

 静寂の世界に、一筋の光が灯った。

 氷に閉ざされた王の間、その中央に広がる"絶対零度"の静寂。

 しかし、その静寂を貫くかのように——眩い光が差し込む。

 光は熱を生み、熱は空間を歪ませる。

 ヴァルグレムの瞳が、焼けるような刺激を受けた。

「……ッ!」

 思わず目を細めるヴァルグレム。

 ——まさか、あり得るのか?

 その可能性を考え、振り返る。

 そして、見た。

 そこには——聖剣と、《業炎の魔剣フランベルグ・ヴァルガード》を佩いたレイシュナの姿があった。

「……そういうことか」

 ゼルガスの意図を悟り、ヴァルグレムは静かに息を吐く。

 聖剣だけでは、ヴァルグレムの冷気を打ち破るには至らない。

 だが——

 《フランベルグ・ヴァルガード》が加われば、話は変わる。

 炎と光。

 ——魔と聖。

 二つの刃が交わり、"絶対零度"の支配を砕く。

 それを知っていたからこそ、ゼルガスは全てを託したのだ。


 一つでは届かなくても、二つならば——届く。


 一人では不可能でも、二人ならば可能となる。


 それが、ゼルガスの身命を賭した答えだった。

 レイシュナは、氷の牢獄から解き放たれた自分の手を見つめる。

 そして、傍らのゼルガスに目を向けた。

 ゼルガスは氷の中で静かに佇んでいる。

 その表情は変わらない。

 だが、彼の熱い想いは、確かにレイシュナの胸に届いていた。

「……バカね」

 レイシュナは微笑んだ。

 温かい涙が、一滴だけ零れ落ちる。

 ——でも、まだ泣くには早い。

 戦いは、まだ終わっていないのだから。

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