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氷葬の騎士、降臨——さらなる刺客たち

 白銀の大地に、一筋の影が落ちた。

 氷の霧がゆっくりと晴れ、そこに佇む存在が姿を現す。

 全身を厚い氷の鎧で覆い、その手には純白の剣を握る男——氷葬の騎士(アイスバニッシャー)

「ヴァルグレム様の命により、貴様らを滅する」

 低く響く声とともに、騎士が一歩を踏み出した。

 その瞬間、空気が凍りついたように感じた。

 圧倒的な冷気が周囲を覆い、ゼルガスとカイゼルの皮膚を鋭く刺す。

「——来たか」

 ゼルガスが剣を握り直し、カイゼルも戦闘態勢を取る。

 しかし、次の瞬間にはすでに敵の姿が消えていた。


 ガキィィィンッ!


 ゼルガスの大剣が弾かれる。

 いつの間にか目の前にいた氷葬の騎士が、剣を片手で受け止めていたのだ。

 その隙に、鋭い氷の刃がゼルガスの脇腹を掠める。

「クソッ……!」

 ゼルガスは跳び退り、距離を取る。

 しかし、その刹那——


 ドゴォン!!

 

 巨大な氷の柱が大地を砕きながら、カイゼルのいる方向へと襲いかかった。

 カイゼルは咄嗟に翼を広げ、炎を纏った拳を繰り出す。

 しかし、拳が触れた瞬間、燃え盛る炎がみるみるうちに凍りついた。

「……この力、まるでヴァルグレム本人が戦場に降り立ったみたいだな」

 カイゼルが苦々しく呟く。

 氷葬の騎士の力は、これまで戦ってきた暴走する氷の精霊とは別次元だった。

「舐めるなよ……!」

 カイゼルの全身から、一瞬にして爆発的な熱量が放たれる。

 竜神の咆哮——カイゼルの究極ブレスが炸裂する!

 灼熱の奔流がアイスバニッシャーを飲み込む。

 その爆風の中を駆けるゼルガス。

 カイゼルが作ったわずかな隙——そこを狙って、渾身の一撃を放つ。

「——喰らえ!!」

 ゼルガスの剣が、氷葬の騎士の鎧を貫いた——かに見えた。

 しかし。

 ズ……ズズ……

「——なに……?」

 空間が、凍りつく。

 ゼルガスが目を向けた先——そこには、無数の氷の結晶が舞い散る中、巨大な単眼がこちらを見下ろしていた。

 氷獄の監視者(ウォッチャー)

「……チッ、増援か」

 ゼルガスの剣は氷葬の騎士に届く寸前で、完全に凍りついていた。

「見られた……まずいぞ!」

 カイゼルが叫ぶ。

 氷獄の監視者の邪眼が発動する——ゼルガスとカイゼルの体が、冷たい檻に閉じ込められていくような感覚に陥る。

 戦いは、ますます絶望的な局面へと突入していった。

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