第98話 どう見ても女でしょ
結局2人と行くことになったのだが、この2人、どうやって技術開発局に潜り込むつもりなんだろう。なにか作戦でもあるのかしら。
と期待した私がバカだったわ。
「なんとかならない?」
頭が痛いわ。
自分から付いてくると言いだし、私の目的地だって知っているのに、なんの考えもないという……なめてるわね。
でもいいわ。想定の範囲内だもの。
「なんとかしてあげるから、その代わり黙って付いてくるのよ。余計なことは言わない。いいわね」
「分かった、なにも言わない。これでいい?」
「…………」
「お兄さん? 分からないところがあるの?」
「あ、いや。えっと……大丈夫だよ」
「よかった」
「……あんた、いい加減止めたら? さすがに拾十だって気づいてるわよ」
「そうかしら。貴方の気持ちに気づかないような鈍感男が――」
「わーわー! 那夜? ちょっと静かにしてようか」
「はっ」
情けない。
そんなことより、もうそろそろいいかしら。
「ちょっとゆっくり走ってもらえるかしら」
「分かったわ」
あと少し……よし、侵入できた。
「それ、私から買ったヤツよね」
「そうよ。もう忘れたの? 薄情な人ね」
「違うわよ。なにやってるのかなーと思って」
「これを使っていろいろ改竄するのよ」
「改竄?!」
「なんとかしてほしいんでしょ」
「言ったけど……大丈夫なの?」
「大丈夫よ。今度はバックアップも取れるから元に戻せるわ」
「元に?」
同じ轍は踏まないわ。
あの人がどうなったのか、調べようにもデータが無いから分からない。そもそも名前すら知らない。顔も覚えていない。
だからこの端末はとてもありがたい。
さっさとバックアップと改竄を終わらせましょう。
「もうじきゲートよ」
「問題ないわ。このまま通過して」
「えっ?!」
「黙ってついてくる約束よ」
「……分かったわ。拾十、静かにね」
「騒いでるのは奈慈美だろ」
「う、五月蠅いっ! 細かいこと言ってると女にモテないぞ」
「奈慈美は女だったのか」
「当たり前だバカ」
ん? それって……ふーん。気づいていないのは本人たちだけ? でも今ので……ああ、腹を立てただけで気づいてはいないようね。
よし、私たちのバックアップと改竄が終わったわ。後は状況に合わせてやりましょう。
次回、静かにして




