第91話 サンプルの採取
中々興味深い結果なのです。
もっと機械が組み込まれているかと思ったのですが、ほぼ生身の身体なのです。機械部品をかき集めても掌に乗る程度なのです。なのにここまで身体に影響を及ぼせるのです? 何故なのです。
魔法が関わっているのか思えば、1号君は全く魔力を持っていないのです。アンドロイドにするときに失ったのです? 人為的に消失させたとも考えにくいのです。持っていないからアンドロイドにしたと考えるのが自然なのです。
そんな人間が存在するのです? 実際に目の前に存在するのです。認めるべきなのです? 常識が覆るのです。
天上の世界に住むということは、こんな変化ももたらすのです? 直接調べに行きたいのです。
しかし、機械部品は左半身に偏ってるのは何故なのです? だというのにこの右腕……真っ白なのです。あらゆる検査を行っても何も写らないのです。
骨、筋肉、血管、神経、他にも人ならば必ずあるべきものが写らないのです。電流や魔流を流しても、なんの反応も見られないのです。
これは詳しく調べる必要があるのです。サンプルを採取するのです。
小指の一本もあれば十分なのです。
「ううっ……んー!」
ん? メスの刃が通らないのです。皮膚は切れるのですが、皮下組織は無傷なのです?
「うあっっっ」
む、メスの刃の方が潰れてしまったのです。そうです。骨切鋸を使うのです。
「う……んん……あ……」
うーん、これも刃がこぼれてしまうのです。それでも少しですが切れたのです。これなら何本か使えば切れるのです。
「う……あ゛あ゛」
しかし、僕は鋸が嫌いなのです。切るというより、削るようなものなのです。
「う゛あ゛……ん……」
しかも切断面がボロボロになるので、サンプルとしてはかなり劣化してしまうのです。
む?
「早く次の鋸をよこすのです」
使えない助手なのです。
「今のでここにある分はすべてです」
まだ半分しか切れていないのに、もう在庫が無くなってしまったのです?
「あ……あう…………う……」
「なにか無いのです?」
「後はもうレーザーメスしか……」
「役に立たないヤツなのです」
とりあえず、上司に携帯で連絡をして持ってこさせるのです。
「はい」
「悦子です?」
「私久! 上司を呼び捨てにするなと何度言えばわかるんだ」
五月蠅い女なのです。
「電話に出て名乗らない悦子が悪いのです」
「あなたも名乗ってないでしょ」
「僕の声が分からないヤツは耳が腐ってるのです」
「あっそ」
「悦子は腐っていなかったのです。褒めて差し上げるのです」
「はぁ、アリガトウ。それで、要件はなにかしら?」
「切るものを用意するのです」
「はあ? レーザーメスがあるでしょ。まさか壊したの?!」
「魔力を使うものは使い物にならないのです」
「ん? どういうことなの」
「悦子は馬鹿です? それを調べるのに必要なのです」
「一言多いのよ!」
「とにかく、鉈でも包丁でもいいのです。原始的で丈夫なヤツを持ってくるのです」
「はぁ……分かったわ。手配します」
これでいいのです。
そうです。サンプルとしては不十分ですが、届くまでの間、この削りかすを調べるのです。
ふあふあふあ、こんなことに気づいてしまうのです。やはり僕は他の屑どもとは違うのです。
次回、鈴無双




