第80話 ご利用になれません
「移動する。付いてこい」
再び女の後に付いて歩く。取り巻きに囲まれながら。囲まれているといっても、2メーターほど離れているから圧迫感は無い。
で、目的地はこの小さな建物か。1分も掛からず到着したぞ。もっと大きな施設みたいな建物を予想していただけに拍子抜けだ。
建物に入ると大部屋が一部屋しか無かった。
「全員入ったな。飛ぶぞ」
……飛ぶ?
次の瞬間、俺たち3人だけがポツンと残され、全員居なくなっていた。
なにが起こった?!
「マスター、ここ、転送装置みたいだよ」
「転送装置?!」
「うん。それでみんな移動したみたい」
「……俺たちは?」
「転送できなかったみたいだね。あはははは」
あははははって……えー、つまり本当に取り残されたってことか。
どうしろと?
「あ、動いた」
なにがだ?
「貴様等、なにをしているっ! さっさと来んかっ」
さっき入ってきた入口の方から声が聞こえてきた。
戻ってきたのか。
「……何処へでしょう」
「何処へじゃないっ。一体なんなのだ貴様等は」
なんなのだと聞かれてもな……一般的な元素人だと思うけど。
「チッ、面倒な奴らだ。ポータルウインドウを出せ」
「ポータルウインドウ?」
「はぁぁぁぁっ。天上人はそんなことも知らないのか」
当たり前だろ。
「掌を上に向けて〝ポータルウインドウ出ろ〟と念じてみろ」
ポータルウインドウ?
掌を上に向けて? 俺とタイムは右掌を、時子は左掌を上に向ける。
ポータルウインドウ出ろ! で出たら苦労しないって。
「なにをやっておる。さっさと出さんかっ!」
「出ませんけど……なぁ」
「うん」
「出ないよね」
「なんだと! 天上人はウインドウも使えないのか。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
随分と深い溜息だな。
『マスター、〝ポータルウインドウ〟ってこれのことだと思う』
VR上にウインドウが表示された。
『これは?』
『ここのシステムをハッキングして情報を幻燈機で表示してみたの』
『ならこれを操作すれば』
『ううん。操作はできるけど、タイムたちは使えないよ』
『そうなのか?』
『うん。動作させられてもタイムたちは影響を受けないからね』
なるほど。
「外へ出ろ」
女に連れられ外に出る。他の人たちは戻ってきていないみたいだ。
次回、チチをもげ!




