表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/193

第79話 人間ではない

 さて、矢面に立つつもりなんかなかったのにな。立つことになったからには腹を括るしかない。

 時子を守らなきゃいけないし。タイムも気になるし。


『マスター、鈴ちゃんたちが付けられてるよ』

『なに?』


 まさか帰すつもりはないってことか? それとも単純に帰るのを見届けているのか?


『そのまま警戒しておいてくれ』

『分かった』


 何事も無ければいいけど。


「案内する。こっちへ来い」

「何処へ連れて行くつもりだ」

「ふっ、付いてくれば分かる」


 そんなことは当たり前だ。

 とりあえずこの偉そうな女の後に付いていくしかないってことか。

 で、逃げ場がないように周りを取り囲まれる……と。なんか連行されている気分になるな。


「ここで待っていろ」


 ゲートまで来ると、女は俺たちを置いて離れていった。

 ゲートに付いていた警備員? となにやら話をしているようだ。


「通っていいぞ」


 いいぞと言われても……女が居る方に行けばいいのか? それともこのまま道を通ってバーをくぐればいいのか?

 分からんが、とりあえずバーの方へ歩いて行くか。

 あれ、取り巻きたちは動かないのか。

 3人でバーの前まで来たけど上がる様子はない。

 くぐるしかないか。


「待て!」


 は? くぐろうとしたら女に止められたんだが。

 向こうだったのか? そうならそうともっと早く言ってくれ。


「おい、何故バーが上がらない」

「はっ。どうやらセンサーが反応していないようです」

「なんだと?」


 センサーが反応しないって、もしかしてここでも俺たちは存在しないことになっているのか?

 確かに魔力センサーには一切反応しないんだけどさ。ここも魔法都市なのか? でも鈴ちゃんの故郷の人間だってことは物理都市の筈……

 デイビーの見立てが間違っていた?


「識別としては無生物、つまり荷物だけが通ろうとしている状態なので、ゲートが開かなかったようです」


 またそういう認識なのかっ。


「更に」


 まだあるのかよ。


「認識しているのは2つ……いえ、2名のみ。1名はセンサーに一切認識されておりません」

「なんだと」

「かろうじて光学センサーに映ってはいるものの、画像が不鮮明になっており、判別が出来ていないようです」

「見せろ」


 その1名っていうのはタイム……だよな。

 でも光学センサーにさえまともに映っていないっていうのはどういうことだ。


「なるほど。ゲートのセンサーでは無理なようだ。いいだろう。待たせたな。くぐって入れ」


 結局ゲートのバーは上がらないのかよ。これ、上にグイッと持ち上げたらダメなのかな。

 とりあえず言われたとおり頭を下げてバーの下を通る。すると警告音と共に黄色いランプが回った。


「おい! 警報は切っておけと言っただろう」

「申し訳ありませんっ。反応したのは無人の貨物が通過したことを知らせる警告灯です。こちらは切っておりませんでした」

「無人の貨物ぅ?」


 そういう認識なのかよっ。つまり俺たちは歩く荷物ってことか? ふざけるな!


「ふん、さっさと警報を静かにさせろ」

「はっ」


 ゲート1つくぐるのも大変だ。

次回、ちゃんと苦労します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ