第75話 接近中
◆◆◆ ゲート外 モナカたち ◆◆◆
「みんな、見て」
視界の隅に|PiP《ピクチャー イン ピクチャー》されていたドローンの映像がポップアップして大きく、みんなにも見えるように表示された。
そこにはゲートから人がゾロゾロと出てきている映像が映し出されている。
「これは……」
「現地の方々がこちらに気づいているようですね」
ゲートから出た人たちがゲート前に道を塞ぐようにして横一列で並び始めた。
武器を構えてはいないようだが、腰に小銃を下げている。
そして緊張した面持ちでこちらを伺っている。中央の1人を除いて。
「この人が責任者かな」
「どうでしょう。立場のある方には違いがないでしょうが、責任者はいきなり矢面に立たないものです」
「あははは、そう……だよね」
「どっちでもいいだろ。俺たちの話し相手はこいつってことに変わりはない」
「左様で御座いますね。話の分かる方だと宜しいのですが……さて」
「ナームコ、鈴を起こせ」
「はいっ兄様っ! 娘、父様がお呼びだ。起きろ」
「うにゅ……はっ、う……ごめんなさい。寝てしまいました」
「構わん。降ろすぞ」
「はい」
相変わらず淡々とした会話だなぁ。
なんでナームコは鈴ちゃんに対してだけああなんだろう。
「パパ、鈴にご用?」
「ああ。もうすぐ目的地の入口だ。パパとママと一緒に居よう」
「うんっ」
鈴ちゃんがトトトトッと近寄ってきて、俺と時子の間に入るとクルリと回って横並びになり、両手を差し上げた。
俺と時子は手を離し、鈴ちゃんと手を繋ぎ直した。
「ふふふっ」
3人で手を繋ぐのも久しぶりだな。
◆◆◆ ゲート前 警戒態勢中 ◆◆◆
「整列、終了しました」
「うむ」
魔力波探知をするのも久しぶりだな。
私はあまり得意ではないから、もう少し近づいてもらおうではないか。
む? 私がこの距離でも微かに感じられるだと?!
ほう、かなり魔力の強いヤツが居るみたいだな。これがあの測定できなかった男だというのか。
金田を引っ張り出してくればよかったかも知れんな。
ふっ、まぁいい。早いか遅いかの違いだ。
ふふふっ。早く来い。
次回、警戒は必要