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第74話 奇妙な一行

◆◆◆ ゲート外 モナカたち ◆◆◆


 荒れた道をテクテクと歩いていく。

 荒れているといってもひび割れている程度だけどな。多少凸凹しているが、つまずくほどじゃない。歩きにくいことに違いはないけど。

 綺麗に舗装されていた前世とは全然違うな。

 結界都市(ラスティス)も荒れてはいたけど手入れはされていた。荒れる原因は馬車を牽く精霊たちの足跡だ。直すのも精霊だと聞いた。精霊の尻拭いは精霊がするということか。

 しかし、俺たち大人には苦にならない程度の荒れた道だが、鈴の足には少しキツいようだ。今はナームコの背中で船を漕いでいる。素直に寝てしまえばいいのに。

 前なら背中に乗ることすらしなかったから、良い方向に変わっているってことだ。


「マスター!」


 ドローン(トンボ)越しに見えていたゲートが肉眼でも見えてきた。

 それはつまりゲートからも俺たちを視認できるようになったということだ。

 堂々と行くことは決めていたが、やはり緊張するな。


◆◆◆ ゲート内 仮設調査本部 ◆◆◆


「報告します! 侵入者が肉眼で確認できる距離まで近づいてきました」

「御苦労。隠れずこちらに真っ直ぐ来たようだな、感心感心」


 だが、まるでここにゲートがあることを予め知っていたかのように迷い無く真っ直ぐ来るな。内部に手引きをした者が居るとでも……

 調べさせておくか。依頼書を脳内作成し、諜報部へ送信……受理されたな。しっかり調べておけよ。


「報告します! 侵入者の人数が探知数と目視計測数で違いが出ております」

「なに?」

「探知数6に対し、目視計測数8となっております」

「計測ミスではないんだな」

「はっ。複数人での計測結果は一致していますっ」

「内訳は?」

「人型が4、アンドロイド型が1、A.I.型が1、小型の鳥型が1、中型の犬型機械が1です。検知できないのは人型1、鳥型1ですっ」

「検知できない人型の特定は!」

「出来ています」

「ふむ」


 渡された写真に人型と鳥型が写っている。

 見た目では普通の人間と変わりがないな。

 鳥型は……まるで燃えているような羽根だな。しかも一本足で肩に止まっている。その上片羽……退役させずに使い続けるとは、なんて非道な連中だ!

 で、こいつがアンドロイド型……人間と変わりがないな。本当に機械化されているのかと疑いたくなるぞ。

 しかしこのA.I.型とはなんだ。初めて聞くぞ。アンドロイド型の肩に座っている小さな存在……か。まるでお伽話に出てくる小人(こびと)のようだ。

 ひっ! な、なんだこの……犬? 人? 犬の身体に人の頭部が付いているぞ。合成生物(キメラ)ではないのだな。何故わざわざ人型の頭部を? 天上の阿呆が考えることは分からぬな。

 これが探知映像か。光学映像と比べてみると、確かに報告どおりのようだが……なんだこの探知映像にある縦長の楕円像は。判別不明……か。光学映像と重ねると、他のところは輪郭がほぼ一致している。この男……なんなのだ。

 ん?


「おい、魔力波計測はしたのか」

「しておりませんっ」

「なに! さっさとしてこいっ」

「ですが、計測器がありませんっ」

「なんだと」

「持ち出し許可がありませんっ」


 チッ、事前申請とか、緊急時には邪魔なだけだぞ。


「私が直接見る」

「はっ!」


 しかし久しぶりだな。こうやって直接調べるのは。

 ふふ、少しだが胸が高鳴ってしまうな。

次回、ふふふっ

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