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第70話 そこに道はある

「結界に穴を開けるね」

「大丈夫なのか?」

「アトモス号と同じだよ」

「でもこれ、バリアじゃなくて結界なんだろ。俺たちに干渉できるのか?」


 デイビーたちと違って、俺とタイムは魔力が無いから干渉どころか認知も……なんでタイムは結界があるって分かったんだ?


火鳥(カタヨク)さんに協力してもらうから大丈夫だよ」

火鳥(カタヨク)に?」


 ああ、だから結界も感知できたのか。


「お願いします」

「アニカ様より仰せつかっておる。存分に使うのじゃ」

「ありがとう」


 タイムがビットを飛ばし、結界(?)に貼り付けた。

 ここの結界は無色透明なんだな。結界都市(ラスティス)だと薄緑色だったのに。


「それじゃみんな、通って」


 ゾロゾロと結界に空いた穴を通り抜ける。

 ……本当に結界なんてあるのか? と疑問にさえ思う。

 結界の中に入っても特になにも感じない。あの埋もれた扉のときのようになにか感じるかとも思ったのだけど、なにも感じない。純粋な魔力……ということなのか?

 あれ? でもここって元素世界の都市なんだよな。ニジェールさんのところとは違うのか。発電機関(ジェネレートオーガン)とか持っていたりするのかな。


「それでタイム、何処へ向かうんだ?」

「んー、ちょっと離れたところで作業している人が居るけど、どうする?」


 ドローン(トンボ)の映像を見ると、男女2人がトラックの荷台に瓦礫を積み込んでいる姿が映っている。


「デイビー、どうだ?」

「末端の作業員に接触しても仕方がありません」


 末端って……お前も末端じゃないのかよ。


「なら他には?」

「そうだね……都市の中に入るにはゲートを通らなきゃ入れないみたい」

「ゲート?」

「うん。全部は見てないけど、端から端まで電流の流れた金網で囲われてるみたいだよ」


 [触るな危険]の看板が掛けられている金網の映像が映し出された。


「超えられないのか?」

「それは推奨出来かねます。穏便な会話が出来なくなる可能性が存在します。僕たちは侵入者ではなく、来訪者なのですから」


 結界を超えたんだから既に侵入者になっているのでは?


「ならそのゲートに行くんだな」

「そうですね。それがいいでしょう」

「タイム」

「ソコの道沿いにまっすぐ行けば2時間くらいで辿り着くよ」

「2時間か。分かった。行こう」


 足場の悪い瓦礫の山を越えると、舗装された道路に着いた。

 タイムが指し示したのはこっちだったな。


「鈴、大丈夫か。結構歩くぞ」

「平気だよ。鈴、(ありゅ)けりゅよ」

「疲れたらちゃんと言うんだぞ」

「うんっ!」


 本当かな。不安だ。問答無用で肩車していくか?


「マスター、あんまり甘やかしたらダメだよ」

「は?! なんのことだ。いいから行くぞ!」

「マスター、逆だよ」

「…………」

「パパ、こっちだよ! 早くー」

「ははっ、待て待てー」

「あっ、モナカ!」

「きゃははは」

「もう。鈴っ、道が荒れてるんだから走ったらダメよっ」

「はい、ごめんなさい。気をつけます」

「モナかもよっ」

「はい、ごめんなさい。ママ、怖いね」

「怖ーい。ふふふふっ」

「モナカっ!」


 やべっ、聞こえていたのか!


「うそうそ! だからその振り上げたゲンコツを降ろしてくれ」

「まったく。ほら、行くよ」


 時子は近づいてくると、そう言いながらさっき俺が離した、そして振り上げた右手を開いて差し出してきた。


「ああ、行こう」


 その右手を左手で取りながら、そう時子に答えた。そしてゲートへと歩き始めた。

次回、問題しかない

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