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携帯は魔法杖より便利です 第6部 古の都  作者: 武部恵☆美
第1章 それぞれの半年
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第7話 専用機と量産機の違い

 ワビーさんの乗ってきた船は、輸送船というだけあってアトモス号より大きい。というか長い。倍以上の長さがあるのかな。これならかなりの人数が乗れるはず。

 でもそれだけ長いと敷地内に停まれず、前の道路に停まっている。邪魔だなぁ。


 エイルの作業場に入る。今はトレイシーさんが使っている。

 その隣でナームコも作業していた。俺が入ってきたにも関わらず、手を動かしている。いつもそうだと助かるんだが。

 だというのに、部屋の主は一体なにをしていることやら。


「トレイシーさん、ちょっといいですか」

「モナカさん、なにかご用ですか」


 作業の手を止め、俺の方に振り向いてくれた。邪魔してすみません。

 ナームコ、お前は作業を続けていていいぞ。手を止めるな! こっちを向くな! 喜ぶな! 全く……しょうがないヤツだ。


「アトモス号でちょっと出掛けてきます。数日掛かるので暫く家を空けることになります」

「そうですか。気をつけて下さいね」

「はい。アニカとナームコは置いていきます。なにかあったら扱き使ってやって下さい」

「兄様?! わたくしも御一緒するのでございます」


 今生の別れじゃないんだから、今にも泣きそうな顔をするな。


「ナームコはトレイシーさんを助けてやってくれ。なに、デイビーを迎えに行くだけなんだから面倒なことにはならないさ」

「ですが……」

「ナームコにしか出来ないことを任されているんだろ。エイルが戻ってくるまで頼むよ」


 頭を撫でてやるから我慢してくれ。


「うう……頼まれたのでございます」


 うん、泣かなかったな。エラいエラい。


 後はアニカか。

 火鳥(カタヨク)に連れられて毎日山に行っているんだよな。背中に乗ってひとっ飛び。アトモス号ほどじゃないけど早い。悔しいけどフブキより早い。しかも空を飛ぶから一直線だ。


『……というわけで、留守番頼むよ』

『えええええええ?! 連れてってくれないのかい?』

『んー、火鳥(カタヨク)の許可が取れるならいいけど』

『う………………うう、ダメだって』

火鳥(カタヨク)によろしく言っといてくれ。じゃあな』

『モナカくん……気をつけてね』

『ああ』


 今回はいつもと違ってノンビリとした移動になる。片道1日、滞在1日の3日くらいかな。あの船がどのくらいで飛べるか分からないからもっと掛かるかもだけど。

 だから念のため1週間分の食糧を積み込む。3人分だから大した量にはならない。

 後は着替えをロッカーにしまって……っと。


「鈴、調子はどうだ?」

「通常航行に問題はありません。主砲は2割に制限さりぇます」


 撃つようなことにはならないし、2割でも威力ありすぎだから。


「よし。ルイエ、通信を繋げてくれ」

「了解。輸送艦と繋げます」


 モニターに向こうのブリッジが映し出される。

 構造はこっちと変わらないな。4人乗りで後ろに水槽は変わらず……か。

 当然船の動力源となる人が入っている。水着? ウエットスーツかな……を着ている。裸じゃないのか。

 ワビーさんの姿は……無いな。整備士だからか?


「準備できました。いつでも行けます」

〝ご苦労。私は輸送艦 ローゼンバースの艦長、ワンマン・センドーだ。いつでも発進してくれて構わない。誘導と護衛、任せたぞ〟

「了解。ルイエ、出発だ」

「了解。魔導反応炉エーテル・リアクター・エンジン始動。出力10%。重力制御装置(GCデバイス)起動。艦内重力正常。シールド出力正常。生命維持装置エーテメンティナーデバイス正常。反応炉(リアクター・エンジン)内圧力上昇。出力30%。アトモス号、浮上します」


 アトモス号がフワリと浮く。相変わらず衝撃も音も無い。ただ船外を映し出しているモニターの映像だけが変化する。

 ローゼンバースも浮いた……のか? アトモス号は屋根の上まで上がったのに付いてくる様子がない。


「どうした。早く浮いてくれ」

〝いや、こちらはこれが限界だ。すまんが合わせてくれ〟


 マジか。

 となると建物の上を飛んでいけないな。スピードも出せない。安全運転で行くか。


「ルイエ、道路を通るぞ。ルートは分かるか」

「はい」

「よし、ゆっくり行くぞ」


 つまりここまでもこうして来たということか。

 この長さ、曲がり角が辛そうだ。

次回、会話を書き取ることが出来ますか?

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