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第68話 結界の先へ

「パパ! またねー」

「ああ。気をつけてな」


 お昼を食べ終わると、鈴とチビタイムは黒犬君に乗って1つ上の部屋の拠点に戻っていった。


「よし、じゃあ掘るか」

「待って。ふっふっふー」

「タイム?」

「じゃーん!」

「おおっ!」


 もしかしてこれ、例のシールドマシンか! 高さは俺よりちょっと大きいくらい? 長さは両手を広げた倍くらい? それがここにあるってことは……


「買ったのか!」

「ちょっと渋られたけど、脅したら(お願いしたら)出してくれたよ」

「そ、そうか」


 なんてお願いしたら4桁万円も出してくれるんだろう。


「それじゃ動かすよー。離れててね」

「分かった。みんな、離れるぞ」


 シールドマシンか。お前の実力とやらをとくと拝見させてもらおうじゃないか。

 ゴウンという低く鈍い音と共にシールドマシンから足が8本出てきて壁に向かって歩き出した。

 へー、ああやって移動するのか。

 そして埋もれた壁にくっつくと、回転を始めて穴を掘り始めた。

 後ろからは掘った土が大きな袋に入ってベルトコンベアで運び出されてきた。タイムが言うには大体1トンの土が入っているらしい。もうそんなに掘ったのか。

 そしてものの30分もしないうちにトンネルは開通した。


「早いな」


 今まで頑張って掘っていたのが馬鹿らしくなるレベルだ。

 シールドマシンが消えると、立派なトンネルが出来上がっていた。

 俺が立って通っても頭が天井に当たらない。でも手を伸ばせば余裕で手が着くくらいには低い。

 壁はきちんとコンクリートで作られているようだ。ナームコが材料を錬金術で生成してそれを投入したらしいが……コンクリートってこんな早く固まるんだな。知らなかった。


「頑張ったからね」

「そうだな。よしよし」

「えへへ」


 トンネルの先は広い空間になっているみたいだ。つまり今回の目的地に着いたってこと……だよな。


「タイム」

「うんっ!」


 言い終わる前に髪留めのドローン(トンボ)が離陸した。それが12匹に分裂すると、一斉に飛び立っていった。


「……えっ?」

「ん? どうかしたのか?」

「あ、うん。トンネルを出て直ぐのところに結界があるの。それが毒素から都市を守ってるみたい」

「そうか」


 結界都市(ラスティス)と同じだ。でもデイビーが言うには毒素だけでなく魔素も無いんだよな。両方から都市を守っているってことか。

 ん? タイムが妙に神妙な顔つきをしている。いつものはつらつさが無い。


「調査結果がよくないのか?」

「どうして?」

「なんか元気が無いからさ」

「えっ。そんなことないよ。タイムは元気だよ。あ、見て!」


 ドローン(トンボ)から送られてくる映像を見ると、瓦礫の中で作業をしている人たちが居た。やっぱり生き残りが居たんだ。

 今度は町中の映像だ。人が沢山居る。整備された道や建物もある。

 ニジェールさんのところと雰囲気は似ているけど、ここは活気が違う。

 空? 天井かな……が明るいし、人々の肌も健康的な色をしている。青白い人は1人も居ない。

 なにより建物が綺麗だ。ニジェールさんのところは補修に補修を重ねて使っていたような印象がある。でもここは古そうな建物もあるけど、新しい建物もちゃんとある。

 人が生きて生活をしているのが分かる。

 正直興味はある。が、エイルが居ないと分かりきっている以上、後はデイビーに丸投げすればいい。


『デイビー、終わったぞ。降りてこい』

『早かったですね。今参ります』


 待っていると黒犬君が鈴ちゃんを乗せてやって来た。


「パパ! 早かったね」

「ああ。タイム伯母さんが頑張ってくれたからな」


 そしてかなり遅れてデイビーがやって来た。


「遅い。鈴はもう着いているぞ」

鉄人形(ゴーレム)と比べないでください」

「鈴は鉄人形(ゴーレム)じゃないぞ」

「分かってます」


 ちなみにこの黒犬君、アトモス号にいるフブキが操作しているらしい。

 動きが似ていると思ったら本人だったというオチ。

 でもどうやって操作しているんだ? 肉球でレバーを握って操作しているとか……肉球でボタンをビシバシと? あ、なんか可愛いかも。

次回、役目は終わった……よね

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