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第60話 平坦な大地

 当てもなくエイルを探すよりはデニスさんが訪れたところを探した方がいい。

 そう思って巡っていたが、何処も彼処もハズレばかり。デイビーの調査がはかどるばかりでなんの有益性も無い。

 それでも可能性があると信じて探したけれど、デニスさんが訪れた場所で解析可能なのは次が最後だという。他にも幾つかあったらしいが、損傷が激しく、復元が出来ないという。

 あと1カ所……いや、まだ1カ所在る! そう思おうじゃないか。

 そう自分に言い聞かせてやって来た場所にはなにも無かった。ただ灰の積もった平らな大地が地平の彼方まで続いていた。


「なにも無い? 時子」

「レーダーにも生体反応は見られないわ」

「そうか……もしかして地下とか?」


 そう聞いてみたが、時子は首を振るだけだった。

 万事休す……か。


「待ってください。地下になにかあります」

「地下に?」

「でもレーダーには映っていないわよ」


 時子が見ている船のレーダーには映っていないが、ルイエにはなにかが見えていると?


「はい。ですが岩盤も不自然な形をしています。通常は凸凹しているはずですか、この一体には岩盤がありません」

「ん? 凸凹が無いんじゃなくて、岩盤が無いのか?」

「はい。ですからなにかがあるのです。あるからこそレーダー波が返ってこないのです」


 なるほど。なにも無くても自然地形ならノイズが少なからず返ってくる。しかし隠蔽された人工物ならレーダー対策で反射が無いって感じかな。


「分かった。しかし入り口が見つからないとなると、それはそれで詰みだろうな」


 それはつまりエイルも中に入れないことを意味するからだ。


「いえ、非常に微かですが最近地表が荒らされた痕跡があります」

「場所は?」

「地図にポイントします」

「モニターに映せ」

「了解」


 モニターに映し出された場所は、肉眼では痕跡を確認できなかった。


「マスター、ドローン(トンボ)で見てこようか?」

ドローン(トンボ)は外に出ないと飛ばせないだろ。だったら降りて確かめた方が早い」

「そうだね」

「よし。フブキと鈴とナームコは船内待機。他のみんなは降りるぞ。ルイエ、近くに降りてくれ」

「了解」


 ゆっくりと移動し、着陸する。

 やはりモニター越しに見てもマーカーが無ければ分からない。マーカーがあっても痕跡が見当たらない。本当に痕跡があるのだろうか。

 とにかく降りて確かめるしかない。


「ここ……なんだよな」

「そうだね」

「ルイエ、どうなんだ?」

〝間違いありません。掘って埋めた跡が僅かに残っています〟


 船外スピーカーからルイエの声が聞こえてくる。

 タイムみたいに自由に外に出られないからな。


「掘って埋めた……か」

「ふむ……」

「デイビー、どうかしたのか」

「大したことではありません」

「いいから言ってみろ」

「はい。この痕跡、少しあからさまではないかと」

「あからさま?」

「はい。まるで見つけてほしいかのような意思を感じるので御座います」

「見つけてほしい……ね。罠だと思うのか?」

「違うと思います」

「見つけてほしいのなら何故わざわざ隠したんだ?」

「そうですね。僕たちを試しているのかも知れません」

「試す? 俺たちが来ると分かっていたとでも?」

「分かりません。いずれにしても、何者かが僕たちを待ち構えている可能性があります」


 何者か……か。

 それはエイル? それとも別の誰か……

次回、斥候を出しましょう

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