第40話 空き時間の潰し方
ポータルウインドウを……出さなくても設定できるからいいか。図書館は直行のポータルポイントがあるからそこを指定して、後はポータルをくぐるだけ。
……1人でくぐるのはちょっと緊張するわ。
出勤時間帯だからここから出ていく人は私以外に居ないから余計……ね。少しドキドキしながら、でも堂々と歩いてポータルをくぐった。
お腹がフワッと浮く感覚の後、今まで同様景色が変わった。
入ったときは1人だったのに、出ると何人も一緒に出てきた。私以外にも利用者が居るのね。そう思って部屋の外に出たのだが……
「閉館しているじゃない!」
思わず叫んだら周りの人がビックリしていた。
「すみません。図書館をご利用ですか?」
私と一緒に出てきた女の人が話しかけてきた。
「はい」
「そうでしたか。開館まであと1時間ほど掛かります。少々お待ち頂けますか」
「あ……そうですか。大きな声を出してすみませんでした」
「いえいえ。ご利用、お待ちしております」
女の人は丁寧にお辞儀をすると、関係者以外立入禁止の扉に入っていった。どうやら図書館の司書らしい。
なるほど。図書館も出勤時間なわけね。
1時間か……ただボーッと待つのも勿体ない。外に出ましょう。
最初は朝焼けで赤く染まっていた空も、すっかり青く染まっている。明るさだけでなく、色合いまで変更しているのね。
ただ、相変わらず影は伸び縮みしたりしない。真下に黒く存在しているだけだ。軒下でもない限り、建物の影で日差しを凌ぐことは出来そうにない。
地図上でも思ったことだけど、かなり小さな図書館だ。町のちょっと大きめの本屋さんと言われても違和感はない。他に図書館は無さそうだし、そもそも本屋自体が無い。こんな環境だ。紙は貴重品ということなのでしょう。
隣は? アーカ市民会館ね。そっちの方がよっぽど大きいわ。
向かいは……マジャンマカ配送センターか。地元の配送会社かしら。
図書館のポータルから周辺の建物に人が流れている。私たちの感覚からすると、随分と遅い時間の出勤ね。午前中の休憩時間になりそうだわ。
外に出たのはいいけど、興味を引くようなものは無さそうね。
図書館の外壁にもたれ掛かり、朝の続きをする。男に中断されたところからね。
寄る予定のお店の目星は付いた。後はなにか面白そうな施設はないかしら。
配給センターか。気にはなるけど見に行くほどじゃないわね。
上下水道もしっかりしているのね。
あ、発電所があるわ! どうやって発電しているのかしら。やっぱり現実的なのは核融合発電? 理論だけで実現できなかった相転移発電? それとも波動発電? まさかの縮退炉発電とか。後で行ってみたいわね。
あ! 技術開発研究所があるじゃない。今すぐ行きたいけれど、今日は図書館で我慢よ。明日行ってみましょう。
それから………………
…………
……
次回、踏み倒す?




