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第26話 絶対死守

 手を引かれながら数分歩くとそれっぽいお店の前に着いた。


「ここだよ。中に入ろう」


 婦人服専門店……とかではなさそうね。どっちも扱っています。なんなら共用品もありますよ的な品揃えだわ。

 結構お店も広い。パッと見10人以上お客さんが居るけど、ゆったりと見ていられる。

 レジが2カ所も在るから、今は空いている時間帯なのかもしれない。


「えーと、女物女物…………何処だ」


 普段来ないお店なのかしら。というより店員さんに頼むって話は何処に行ったのよ。

 店員店員……レジと接客中とで暇そうな店員が居ないわ。


「あったあった。んー、どれがいい?」


 これ……部屋着じゃないの? 外出着じゃないわね。動きやすさでいえば悪くない。

 サイズは……どれかしら。身体の大きさが変わったからいつものだとダメだし。

 んー……合わせてみたけどこれは小さいな。ワンサイズ上で丁度よさそう。

 色は目立たない黒がいいかしら。黒黒黒……無いわね。白と赤とピンク……しかないの?

 もー、男物でいい気がしてきた。

 こっちのデザインは……


「これなんかいいんじゃないか」


 くっ……それは1番避けたいピンクじゃない! でも今のキャラクターを維持するにはそれが最適解とでもいうのかしら。


「可愛くて似合うと思うんだけどな」


 バカ言わないで!

 私みたいなおばさんがピンクとか……後ろ指さされるわよ。そりゃ部屋の中で人目に付かないところならいいんでしょうけど……あ、これ部屋着なんだっけ。うーん……

 と悩んではみたものの。


「可愛い! これにする」


 としか言えないじゃない。

 どうしてこうなった……

 えーと……試着室は……


「分かった」


 あ、ちょっと! 持っていかないでよ。

 ……まさか試着もせずに買うつもり?!


「かーえーしーてー!」

「ん? ははっ、このくらい買ってやるぞ。遠慮するな」


 そうじゃないわよ! サイズが合うか、機能性があるか、それに動きやすさとかが分からないでしょ!

 ……なんて言うキャラじゃないわよね。

 もーっ。これじゃ笑顔を見せながら「ありがとう!」って言う以外の選択肢が無いじゃない!

 ま、いいわ。これは部屋着として着て、外はローブを着ればいい。

 でもきっと明日あの女に会ったら「私が行けばよかった」と言って男に任せたことを後悔するに違いない。

 などと考えながら、レジに並んでいる間はニコニコと笑って男のご機嫌取り。はぁー面倒くさい。


「いらっしゃいませ」


 レジ係がペコリとお辞儀をする。

 男がカウンターに服を置くと、レジ係は値札を読み取り機で読み込んだ。


「上下セット1点で6980ベルになります」


 これは安いのかしら、高いのかしら。

 男がレジ脇にある掌が描かれた装置に触れると会計が済んだらしい。

 支払いを確認したレジ係は値札を外して袋に入れた。

 袋を男が受けとり、レジを離れる。


「ありがとうございました。いらっしゃいませ」


 中々繁盛しているようね。

 お店の外に出ると、さっきより人混みが増えたような気がする。

 仕事終わりの時間なのかな。そういえば暗くなってきたような気が……というか太陽は何処? と思ったけど、ここは地下だったわね。


「さ、帰ろうか」

「何処に?」

「お兄さんの部屋にだよ」

「おじさんの?」

()()()()の」


 ふっ、仕方ないわね。それに〝お兄ちゃん〟よりはハードルが低くて助かるわ。大体、私の方がよっぽど年上だもの。彼がおじさんなら私はお婆ちゃんね。

 手を引かれながら男と歩く。

 結構色々なお店がある。さっきとは違う服飾店もある。靴屋、鞄屋、家電量販……家電?! 見たい見たい!


「ん? どうした」


 あっ、思わず家電量販店に足が向いて手を引っ張ってしまった。


「気になる物でもあったのか?」


 さすがに家電量販店に興味を示す幼女は無理があるわよね。クソッ。


「えっと、ちょっと疲れただけ。ごめんなさい」

「そっか。じゃあお兄さんが負んぶしてやろう」

「えっ」

「えっ?」


 しまった。思わず素の声が出ちゃった。くっ、このままでは……


「わ、わぁい! 嬉しいなぁ」


 う……ちゃんと笑えたかしら。頬が引きつってなければいいけど。


「そうかそうか。ほら!」


 セ、セーフ。よかった。この人がモナカ以上のおバカで本当によかった。

 でも成り行きとはいえ、背中に乗るのか…………

 男は背中を向けてしゃがみ込むと顔を向けてきた。指をパタパタと扇いで乗っていいぞと呼んでいる。

 くっ……避けられなさそうね。

 肩に手を掛けて肘を背中に当てるように……くっ……すれば、胸が……うー……当たるのは……防げるから……あー、肘が寄らないわ。それに無理に寄せようとすると余計当たりそうになって……調整が……


「ちゃんと掴まったか?」

「うん」


 当たって……ないわよね。


「もっとギュッと掴まってもいいんだぞ」


 絶対にイ・ヤ!


「大丈夫!」

「そうか。立つから気をつけろよ。そらっ!」


 私の太ももを抱え込むとスッと立ち上がった。

 悲鳴を上げそうになったけど、ローブ越しだったからなんとか耐えられたわ。お尻よりはマシと思いましょう。

 男が歩くと服の入った袋がガサガサと男の太ももに当たっている。

 私が持ってもいいんだけど……今更ね。

次回、転送先が壁の中?!

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