表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/193

第23話 正統進化と派生進化

「なよちゃん!」

「ふっ」


 絶望的な顔で叫ぶ男を監視員が嘲笑っている。

 その余裕な顔もそこまでよ。

 嘲笑っていた顔が段々と渋い顔になっていく。

 そしてスキャナの光が消え、スキャンが終了した。スキャナーから警告音が鳴ることは無く、緑色の光が漏れて見えてくる。


「え?」

「ふんっ、問題なしか。下らん手間を取らせやがって。おい! 積み荷はどうだ」

「はっ! 特に怪しい物はありませんでした」

「む……ふむ。誤動作でもしたか。チッ、行っていいぞ」


 まるで野良犬でも追い払うかのようにシッシッと手を振ってきた。何処までも失礼なヤツね。


 ふっ、それも今日までよ。


 車に乗り込むと、監視員がボタンを押してバーを上げた。

 やっと中に入れるのね。


 古の都。魔法と科学が融合する世界。でも魔法はあくまで脇役。科学が主役だ。

 前世の遙か昔の文明。失われた技術がここにはある。しかも五千年という時を掛けて進化した技術が……

 一体どれほどの物があるのだろう。私たちはどれだけ彼らに追い付けたのだろう。

 それがこの目で見られる。こんなに嬉しいことはない。


 ゲートを抜けても道と廃墟なのは変わらない。でもゲートの外よりしっかりしていて、崩れてはいない。住もうと思えば住めそうなレベルだ。


「ふぅ。一時はどうなるかと思ったよ」

「……そうね」

「なんだ? 怪訝な顔して」

拾十(ひろと)はなんとも思わないの?」

「なにをだ?」

「はぁ。なんでもないわ。貴方が羨ましい」

「そうか? ふ、ふはははは」

「……バカ……」

「ん?」

「な・ん・で・も・な・い」

「?」

「納品が終わったら好きにしなさい。ああ、少なくとも服は買ってあげなさい」

「ええ?!」

「そんな格好、目立って仕方ないでしょ! それから食事も。拾十(ひろと)のを分けるんじゃなくてちゃんと申請しなさい」


 申請?


「わーってるわーってる、わーってるから!」

「〝妹〟……なんでしょ。大事にしなさい」

「だからわーってるって……しつこいなぁ」

拾十(ひろと)がそんなだからでしょ!」

「えー」

「〝えー〟じゃない!」


 短い間だけど、この男の世話になるのがよさそうね。

 それに、どうせ数日もすればこの2人は……ううん、2人だけじゃない。さっきのいけ好かない監視員も、この先に居る人たちも……

 ダメダメ、ここで最後なんだから。ここさえ終われば…………

 待っていてね、母さん。

 今度こそ、間に合わせるんだ。

次回、おじちゃんとおばちゃん

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ