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第22話 追加設定が最悪なんですけど

「うわ、もしかしてなよちゃんか?」

「ゲートから外へ出てきたんじゃないの?」


 へぇ。ちゃんと入出管理しているのね。偉いわ。


「どどどどどうしよう」

「どうにもならないわ。素直に応じましょう。もしかしたらあの犬って可能性もあるんだから」

「おじちゃん、怖いよぉ」


 という演技をしておきましょう。


「だ、だだだだ大丈夫だ。お、おじ……おじさんに、任せなさい!」


 本当に任せて大丈夫なのかしら。


「降りろ。個別にスキャンする。おい、積み荷を調べてこい」

「はっ!」


 車を降りて3人で並ぶ。

 えーと。ここは怖がったフリとして、男の腕にしがみ付いて後ろに隠れるようにしておけばいいわね。


「所属と名前を言え!」

「……偉そうに……」

「ん?」

「資源回収業 第37番所属 後登海(ごとうみ)奈慈美(なじみ)

「同じく、五十三(よみ)拾十(ひろと)

「…………」

「ん? 早く名乗れ」

「ひっ」

「あーえっと、この子は私の妹でして……その、お兄ちゃんの仕事が見たいって付いてきちゃったんですよ。は、はははは。ホント、兄離れできなくて困ったもんですよ」


 なにその設定!

 え、この人のこと〝お兄ちゃん〟って呼ばなきゃいけないの??

 う、うー。


「お兄ちゃん怖い」


 ひぃっ、背中が痒いわ。


「早く名乗らんかっ!」

「ひっ!」


 えっと、背中にギュッとしがみ付いて目を瞑ればそれっぽいかしら。


「まぁまぁまぁ。まだ子供ですから」

「ふん。随分とデカい子供だな。まあいい。個別スキャンをすれば分かることだ。離れて立て。まずはお前からだ」

「はいはい。早くしておくれ」


 ふーん。ハンディスキャナーで読み取るのね。

 監視員が女にスキャナーを向けると、光線が女を包んだ。

 ああやって読み取るのか。なるほどね。


「問題は無いようだな。次はお前だ。いい加減離れろ」

「そこは勘弁してもらえませんか。こんなに脅えてるじゃないですか」

「だからなんだ。離れないと2人とも捕らえるぞ」

「ひぃっ」

「あーもー。なよちゃん、こっちおいで。お姉さんが抱っこしてあげるわよ」


 今度はお姉さんか……ええい、もうヤケよ!


「お姉ちゃーん!」

「あーはいはい、よしよし。怖かったねぇ」


 そう言いながら私を抱き締め、かなり強ばった笑顔を向けて頭を撫でている。台詞も棒読み。なんて大根役者なのかしら。バレたらこの女の所為ね。


「ひぃーん」

「ふんっ。お前は動くな。スキャンするぞ。…………ふむ、時間を取らせやがって。おい子供、次はお前だ」

「ひゃあ!」

「手間を取らせるなっ。来い!」

「痛い!」


 乱暴に腕を掴まれて無理矢理引き剥がされた。

 ここは倒れるようなフリをしてっと。


「きゃあ!」


 よし、監視員の足にしがみ付けたわ。


「なよちゃん!」


 監視員に見られないように魔法陣を描いて……


「貴様! 離れんかっ」


 あと少し……これで〝強制介入(インターラプト)〟発動。

 スキャナーに潜り込んで……


「このっ!」

「いったぁい!」


 こいつ! 思いっきり蹴飛ばしやがった。

 こんな幼気(いたいけ)のない女の子を蹴飛ばすなんて、良心ってものが無いのかしら。


「なよちゃん! 大丈夫かい?」

「うう、痛いよう」


 あー、思いっきり地面を転がったから擦り傷ができたじゃない。演技じゃなくて本当に痛いわ。

 こいつ、死なす!


「貴様、今すぐ離れなければ捕縛するぞ」

「う……」

「ふんっ、手間ばかり取らせやがって」


 (いった)……動こうとすると節々が痛むわ。

 立てなくはないでしょうけど、立てない振りをしてやりましょう。


「お兄ちゃん……うっ」

「ジッとしていろ」

「なよちゃんっ!」

「動くな。直ぐ分かる」

「い、妹はスキャンアレルギーなんだ」

「……なに?」

「えっと……だから、スキャンされると蕁麻疹が出ちまうんだよ」


 ちょっと! また変な設定入れないでよ。蕁麻疹? ええー、鳥肌でも立てればいいっていうの?本職じゃないんだからそんな器用なことできるわけないでしょ! 無視よ無視。


「聞いたこと無いぞ」

「それは……な、難病指定されていて」


 もう追加設定入れてこないでっ。


「それで……最近見つかったんだ。だから……勘弁してもらえないか」

「ほう……ならば難病証明書が発行されているはずだ。見せてみろ」

「難病証明書?!」

「どうした。見せられないのか?」

「え、えーと、何処にしまってたかな。えー」


 身体中のポケットを探したって見つかるわけないでしょ。そもそも普通に考えたら私が持っていなければいけないものでしょ。

 ほんっっっっとにバカなんだから。


「あー思い出した! 大切な物だからって家の金庫に入れたんだった」

「つまり、提出できない……と?」

「すみません」


 監視員が男を睨み付けた後、フッと私に視線をやるとスキャナを構えた。


「ああっ!」

「規則だ」


 男の訴えなんか聞く耳も無いのだろう。

 監視員が厭らしくニヤつくと、私の身体をスキャナの光が覆い尽くしていった。

次回、はじめの一歩

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