第21話 前世では耐えずに殴り倒してきた
「……警察に任せた方がよくない?」
「そうしたら病院に行くことになるだろ」
「あんたってヤツは……」
「今日の作業はもう終わりだろ。帰ろうぜ。なよちゃんも一緒に来いよ」
「うんっ!」
ふーん。このトラックにガラクタ……資源を積んで持ち帰っているのね。
「連れてくにしても、この子は乗せられても……こ、こっちは無理よ!」
「荷台に載せればいいだろ」
「バカね。こんなバケ……り、立派なワンちゃん……検問でバレたら私たちだってマズいわよ」
検問なんてあるのね。
「隠せばなんとかなるだろ」
「ならないわよ!」
ポチが見つかるのはマズそうだし……この際だからいいか。
「ポチ、おいで」
ポチから降りて自分の肩を叩くと、ポチがピョイっと飛び乗ってきた。
「えっなになになに」
「小さく……なった?」
「ポチは賢いから、このくらい簡単なんだよ。えっへん」
腰に手を当て、胸を張ってドヤ顔を……する……うう、ダメよ恥ずかしがっちゃ。耐えるのよ。
「いやいやいや、賢いからって小さくなれないわよ!」
「そうだぞ。一体どういう教育をしたら小さくなれるっていうんだ」
「んー、分かんない!」
ちょっとバカッぽすぎたかしら。でも実際、どうやって小さくなっているのか分からないしね。
「そっかー分かんないかー」
「それも忘れたってことかしら」
「そうなんだろ」
男の方は信じてくれたみたいだけど、女の方は疑り深いわね。まぁ私でもこんな怪しいヤツ信用なんてしないから、男がバカなだけね。助かるわー。
「それじゃ乗って」
「ほら、なよちゃんは真ん中だ」
「うんっ」
へぇ。ちゃんと3人乗りなのね。
女が運転するんだ。
「シートベルトは締めた?」
「待て待て。ほら、なよちゃん」
「んー? なにこれ」
知っているけどね。ここは知らない振りをして保護欲を掻き立てましょう。
「ほら、こうして身体を固定するんだ」
しまった。使い方が分からないとなれば、この男が私にシートベルトを締めようとするのは必然。どさくさに紛れて身体に触ってこないでよっ。
でも我慢我慢……私は……耐えられる……
「ふーん。ありがと。えへへ」
私は笑える。可愛く笑える。ニコッ。
「……あんた、こういうのが趣味だっけ」
「な、なんだよ急に」
「私は……うう、寒気がするわ」
言われなくても分かっているわよっ!
「そこまで言うことないだろ」
「はいはい。行くわよ。あんたの趣味に付き合ってらんない」
「趣味じゃないっ!」
女がアクセルを踏むと、スウッと加速していった。
ふーん、動力はモーターなのね。
それもそうか。こんな密閉された地下でガソリンエンジンなんか使えないわ。ニジェールさんたちみたいに発電機関があるのかしら。
舗装された道路のようだけど、かなり荒れているわね。それでも砂利道よりは揺れていない。時々ヒビ割れでガタガタする程度。そこそこ快適ね。
「検問所よ」
「ポチ、隠れてろよ」
「「「がうっ!」」」
「しーっ!」
「「「きゅうん……」」」
検問所……ゲートになっていて入口と出口が別々なのね。駐車場のゲートみたい。
ゲートから横へ延々と金網が続いている。雷のマークと〝触るな危険〟の文字が書かれた看板がぶら下がっている。どうやら電流が流れているみたい。
監視員らしき人が2人ほど居るわ。
車が減速してゲートを通る。
すると警告音と共に赤ランプがクルクル回り出した。監視員が「止まれ!」と叫びながら車の前に出てきたわ。検問に引っかかったみたいね。
次回、設定てんこ盛り




