第20話 羞恥プレイ継続?!
「おーい! なにやってるのー!」
「悪い! 今行くー!」
さっき言っていた仲間ね。声だけ聞こえてきたわ。
「ほら、付いてきな」
「病院ヤッ!」
「分かった分かった。病院には行かない。とりあえず一緒に戻ろうか」
「うんっ」
付いてこいって言うけど、足場が悪いわね。かなり歩きづらいわ。
でもこの人はものともせず歩いている。
「わっ!」
急にポチが股に顔を突っ込んできたかと思うと、ポーンと後ろに飛ばされてしまった。
「うわっ、わあ!」
着地したのはポチの背中。この大きさでも背中に乗せて潰れないのね。
「おお。いいな。俺も乗ってみたいぞ」
「おじちゃんが乗ったら潰れてしまうわ」
「おじ……はは、違いない」
この足場の悪さもポチには関係ないのね。
でも背中に乗っているだけだと足が地面にゴツゴツと当たってしまう。足をちょっと上げないといけないわね。歩くよりは断然いいけど、鐙が欲しいかも。
「きゃああああっ! よ、五十三! 後ろ後ろ!」
「っはは。大丈夫だよ」
「大丈夫って……ひぃ! ひ、人の死体を背負ってるじゃない!」
失礼ね。生きているわよ。
「いやいや、一応生きてるぞ」
一応ってなによ。
「三つ首の化け物なのよ。食い殺されてるに決まってるわ!」
「生きてるって。なぁなよちゃん」
「うん! 生きているよー」
「ひぃ! 死体が喋った!!」
そんなわけないでしょ。
「大丈夫だって。ポチだっけ? 大人しいもんだぞ。ほら」
あっ、バカッ! いきなり頭なんて撫でようとしたら……
「「「がうるるるるるる!」」」
「ひっ」
全く……
慣れていない人間がいきなり頭を撫でようとしたら怖がられることくらい常識でしょ。
人間に慣れているならともかく、ポチなんて父さんと私くらいなんじゃない?
「いやぁ! 五十三、逃げて!」
とはいえ人間に噛み付いてしまったら、罰せられるのは自分を守ろうとした犬の方なのよね。理不尽だわ。
「ポチ! 虐めちゃダメでしょ」
「「「きゅーん」」」
「ごめんなさい。ちょっと興奮しているだけなの。本当は優しい良い子なの」
「優しい……」
「良い子……」
そうね。こんな厳つい顔が3つも並んでいたら怖いわよね。首を1つに出来ないかしら。
……斬り落としてみる?
首にそっと手を当ててみる。っふふ。こんな太くてたくましい首、無理に決まっているわ。
「ん? ポチ、どうしたの? 寒いの?」
なんか急にガタガタと震え始めたわね。どうかしたのかしら。首をさすってあげると震えは止まったけど、今度は身体を凄く強張らせている。
「「「わ、わふ……」」」
「ん? なぁに」
急に情けない声を出して、喉も動いた。固唾でも飲んだのかしら。もしかしてなにか居るの?
「と……ところでその子、誰?」
「なよちゃんだ。ちょっと記憶が曖昧らしい」
ポチが怖がるなんて余程の……もしかして魔物?
「記憶喪失ってこと?」
「分からん」
今襲われたら折角手に入れた現地人も危ないわね。
「病院に連れてくの?」
「それが本人が嫌がっててな」
探知魔法……はどうやるのかな。まだ教わっていなかったわ。
「嫌がってるって。じゃあどうするの?」
「んー、暫くうちで預かろうかなーと」
そうね……魚群探知機みたいな動作でいいかしら。音波じゃなくて魔波を飛ばせば……
「こんな得体の知れない子をあんたが?!」
「わ……悪いかよ」
よし、あまり遠くは関知できなかったけど、一応成功したみたいね。
やっぱりこの辺りにまともな建物はなさそう。ガランとしているわね。
「はぁ……惚れたんじゃないでしょうね」
「バカ言うなよ。まだ子供だぞ!」
生命体は幾つか居るけど、どれも小さいわね。ネズミとか虫かしら。大型はここに4体居るだけだわ。
「見たところ高校生くらいだと思うけど」
「中身は結構子供っぽいから見た目より幼いと思うぞ」
私には感じられないなにかをポチは感じられるのかしら。後で父さんに正しい探知魔法を教わろう。
「記憶喪失で幼児返りしたってことかしら」
「そうかもな」
えっ、私このまま子供の演技しないといけないの?!
次回、無意識なんです




