表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/193

第176話 召喚されし者、巻き込まれし者

「どうやら、否定はしなかったみたいだね」

「用があるのはその3人なんですよね。なら巻き込まれた……」


 巻き込まれた?


「ううっ」


 どうしたのかしら。口を(つぐ)んだわね。でもなにか言いたそうにしている。


「なんで言ったらダメなのよっ!」


 また天に向かって文句を言っているわ。やっぱりそこに〝天の声〟が、〝管理者〟が居るのね。


「だって巻き込まれたのは……」


 巻き込まれたのは?


「うーっ!」


 なるほど。〝口さえ開けない〟って、こういうことね。

 アニカさんに召喚された時子のことかしら。それって言えないようなこと?


「ふーん。それは言えないんだね。なら、代わりに父さんが言ってあげようか?」

「知っているんですか?!」

勿論(もちろん)だとも」


 父さんは一体何処まで知っているというの? 情報源はあいつだろうけど、ならあいつはどうやって知り得たというの……


「その人の名前はね」


 誰!


「結構ですっ!」


 え?


「いいのかい?」

「貴方が本当のことを言うとは限りません。嘘を言われてもなにを言われても、タイムはそれを否定も肯定もできませんから」

「なるほど。賢明な判断だね」

「褒められても嬉しくありませんっ」

「ええー……」


 たった今嘘を()いた相手は信じられないのも当たり前か。

 どうして父さんはつまらない嘘を()いたのかしら。

 それはともかく。


「でも1つだけ分かったことがあるわ」

「なにが分かったの?」

「貴方も全てを知っているってことよ。そうなんでしょ?」

「それは…………」

「そうなのか?」

「マスター!」

「モナカ! 大丈夫なの?」


 いきなり現れないでほしいわ。確かポチをブラッシングしていたんじゃなかったの?


「え? なにが?」


 なにがじゃないわよ。


「なにがって……お姉ちゃん、どうなっているの?」

「マスターはポチさんをブラッシングしたことによって精神的な不安が取り除かれて元気になったわ」

「マスター……」

「モナカ……」

「モナカ君……」

「兄様……わたくしもブラッシングしてほしいのでございます」


 ど、何処までもモナカはモナカね。

 呆れるくらいモナカだわ。

 うわぁ……しかもポチの毛並みがツヤッツヤになっているじゃない。

 この短時間で全身のブラッシングをしたの?!

 だとしても、ただブラッシングしただけでこうもツヤッツヤになるものかしら。

 それと比べてタマは……はぁ。可哀想になってくるわ。


「なんの話だ?」

「フブキさんがヤキモチ焼かなければいいなって話よ」

「なに?! ごめんよ! 今直ぐブラッシング――」

「しなくても大丈夫だから!」

「本当に? 本当に本当か?」


 この状況ですら大切なのはそっちなのね。分かっていることだけど、懐かしく感じてしまうわ。


「本当よ。ナース(タイム)を信じて」

「……分かった。信じるよ。信じるけど、それとこれとは別だ。タイム、どうなんだ?」

「鈴ちゃんのことは知らなかったの、本当だよ」

「他のことは知っていたってことか」

「…………その質問には答えられないの」

「禁止事項ってヤツか」

「禁止事項が〝他のこと〟にも含まれているから」

「そっか……なら言わなくていい。言おうとしなくていい。集められたってことは転生してきたヤツってことだよな。となると、俺とエイルとアニカの3人で決まりだ」


 やっぱりモナカも同じ考えなのね。


「で、時子が巻き込まれた者。そうなんですよね」


 それも言うのね。

 ああ、ほら。アニカさんが俯いてしまったわ。


「タイムちゃんに口止めされてるからな。父さんも黙秘します」

「律儀ですね」

「言っただろ。父さんたちはモナカ君たちの敵ではない」

「でも味方でもない。違いますか?」

「いいや、そのとおりだ。今はまだ敵ではない、といったところかな。場合によっては敵になる。そう思ってもらって構わない」

「それはエイルも……ってことですよね」

「いや、エイルちゃんは君たちの仲間だ。でも、那夜(なよ)は……どうかな」

「エイル?」

「わ、私は……」

次回、エイルではなくマスター

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ