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第148話 死ぬことよりも重大な問題

 もう!

 エイルさんは何処に行ったの? なんでここの人たちは私ばかり狙うのよ。

 幸いナームコさんの鉄人形(ゴーレム)が防いでくれているけど、大丈夫かな。


「重要機密を盗んだ奴らだ。絶対に逃がすな!」


 それ、絶対エイルさんのことですよね! 濡れ衣なのにぃ。

 とにかく、エイルさんは外に出たはずだから、私たちも外に出ましょう。えーと……


『お義姉ちゃん、まずは外に出ようよ』

『はい。ですからルートを表示してますよ』

『え? ああ、これね』


 鉄人形(ゴーレム)に紛れてよく見えないけど、確かに矢印と距離が表示されているわ。


『はぁ、気づいてなかったんですね』

『う……』

『いえ、言わなかった私が悪いんです。ごめんなさい』

『ううん。気づかない私が悪いの。ごめんなさい』

『でも問題はありません。鈴ちゃんに教えてありますから、少しずつですが出口に近づいています』

『そうなの?』

『この鉄人形(ゴーレム)に指示を出しているのは鈴ちゃんですから』

『ナームコさんじゃなくて?』

『今のナームコさんにそんな余裕はありません』


 そっか。スライムを相手にしているんだっけ。


『エイルさんは既に建物の外に出ているようですね』

『分かるの?』

『はい。携帯(スマホ)から、ああ、ここで買った携帯(スマホ)からエイルさんが持っている携帯端末を追えました。どうやらかなり型が古いようで、セキュリティホールがかなりありました。エイルさんらしからぬミスですね』

『セキュ? そうなんだ……ふーん』

「逃がすな! 逃がしたらどうなるか分かったもんじゃないぞ! 死にたくなかったら絶対に逃がすな!」


 なんか凄いことになっていない? それに、包囲している人が減るどころか増えていない? 鉄人形(ゴーレム)も少しずつ数が減ってきている。

 わ、私も魔法で……


()めておきなさい。不慣れな乱戦で魔法を間違えば味方に被害が出るだけですよ』

『登録していれば攻撃魔法の非対称になるんじゃなかった?』

鉄人形(ゴーレム)はナームコさんが居ないと登録できません。それにまた忘れたんですか? 効果はなくても結果は影響する物もあることを。あと携帯(スマホ)はしまっておいて下さい。ヤツが来ましたよ』

『ヤツ?』

「うわあ!」

「逃げろ!」

「どけぇ!」


 後ろの方に居た警備員たちが騒いでいるみたい。今まで以上に鉄人形(ゴーレム)に激しく襲いかかってきている……というより、無視して乗り越えてこようとしている? 前の方にいる人たちも戦闘を続けようか逃げようか戸惑っている感じ?

 すると、後ろの方からなにかが潰れるような弾けるような音と共に、人とは思えないような声が聞こえてきた。

 それを見た? 聞いた? 前の方に居た警備員たちは、私を無視して悲鳴を上げながら我先にと逃げ出した。

 な、なにが後ろで起こっているの? でも前に居た警備員が居なくなったから、私たちもこのまま逃げてしまいましょう。


『時子さん、携帯(スマホ)は絶対に気づかれないで下さい。さもないと死にますよ』

『物騒なことを言わないで』

『怖がらせてるわけでも、誇張表現でもありません。事実です』

『わ、分かった。早く逃げましょう』

『いえ、無理なようです。追いつかれました』

『追いつかれたって……』

『後ろに振り向くなら、吐かないで下さいね。そんな暇無いんですから』

『それも……』

『誇張はありません』


 ということは、余程のことが? ここは後ろを振り返らずにこのまま走って脱出した方がいいみたい。

 でもやっぱりこのスカートだと走りにくいわ。キツくてあんまり足を広げられないんだもの。


〝ママ、鉄人形(ゴーリェム)に乗って下さい〟

鉄人形(ゴーレム)に?」

〝わふっ!〟


 これは、黒犬君? 確かフブキちゃんが操っているんだっけ。頭がナームコさんじゃなければいいんだけど、どうしても見た目で逃げ腰になってしまうわ。

 怖くない。怖くないのは分かっているんだけど……正直気持ち悪い。……これに乗るの?


『時子さん、躊躇(ためら)ってる暇はありませんよ』

『分かっているわよ』


 分かっているけど……タイトスカート(この格好)で跨がるのが……


『早く!』

『でも……その……』


 このゆとりの無いピッタリとしたスカートじゃ……


『第三者には見えないようになっているんだから大丈夫ですよ』

『分かっているけど、気分の問題よっ』

『気分の問題で死なれたら困ります』

『う……本当に見えないんだよね』

勿論(もちろん)です……タイムが起動していればの話ですけど……』

『え? なに?』

『なんでもありません。生きるか死ぬかの問題よりパンツが見えるか見えないかの方が問題ですか?』

『問題よ』


 死んだら恥ずかしいなんて感じている暇無いもの。


『まったく……見られて恥ずかしい子供パンツではなく、見た方が恥ずかしくなるような大人パンツですから、安心して下さい』

『余計恥ずかしいわよっ。なにそれ! どんなパンツよ』

『見てみたらいいじゃないですか』

『見ないわよっ! 第一私そんなパンツ履いてなかったんですけど』

『忘れたんですか? 衣装替えのとき、全裸になるじゃないですか。だからパンツもちゃんと衣装毎に用意してあるんです』


 衣装毎?! OLだからそんなパンツってことなの?

※違います。

 大人って大変なのね。


『でもそっか。だからブラジャーが……』


 擦れるからちょっと痛いのよね。


『ブラジャーが……なんですって?』

『なんでもないなんでもない。あはははは……』


 お義姉ちゃんもこの話題はNGか。


『あんな物は飾りです。脂身が詰まってるような連中にはそれが分からないだけよっ!』

『だからなんでもないって言っているじゃないっ』


 もー、自分で言う?! えーと、話題を変えないと……あ、そうだ。


『後ろから来ているのって私久(わたひさ)さんなんでしょ』

『はい、そのようです。でも携帯(スマホ)を止められたら、もう擦れて痛くなる心配なんてしなくてもよくなりますよ』

『え?』


 私、擦れて痛いなんて言ったかしら。


『消えるのはブラジャーだけではないってことです』

『ブラジャーだけじゃ?」


 この服に衣装替え(モードチェンジ)したときにブラジャーが消えて、でもそれだけじゃなくなるってことは……!


「それを早く言って!』


 ひぃ! 全裸は嫌だよぅ。

次回、使えるものは使わないと

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