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第146話 抱きついてもいいかな

 あくまでポチを介して会話しているだけよ。父さんじゃない。


「あの……お姉様」

「ん、なに?」

「あの……さっきからその三つ首の犬? のことを〝父さん〟って呼んでおられますが、その犬がお姉様のお父様なのでしょうか」

「そんなわけないでしょ。犬は犬よ。父さんじゃないわ」

那夜(なよ)?!」

「あ……そうじゃなくて……と、父さん……は犬じゃないわ。一応人よ」

「〝一応〟じゃないよ!」

「じゃあ、この犬は……ペットですか?」

「そうね。そう思って構わないわ」

「そ、そうなんですね」

「「がうっ!」」

「ひゃあ!」

「大丈夫よ、良い子だから。仲良くしてあげて」

「お姉様が仰るのでしたら……」

「それじゃ那夜(なよ)、行こうか」

「どうやって行くの?」

「次元収納を利用するんだ」

「次元収納を?」

「そうだ。中に入ったらこっちで引っ張り出してやる。那夜(なよ)はまだは入れても出られないだろ」

「入ったことも無いわよ」

「そうか? ……そうだな」

「なによ」

「気にするな。そのうち分かる」

「で、どうすればいいの?」

「なぁに簡単だ。掌を上に向けて〝ポータルウインドウ出ろ〟って言えばいい」

「…………は?」

「そこから地上を選べ。そうすれば後はやってやる」


 どういうこと? ポータルウインドウ? 色々言いたいことはあるけど、とにかくやってみましょう。

 ええと、掌を上に向けて〝ポータルウインドウ出ろ〟って思えばいいのね。

 あ、出た。で、この一覧から地上を……


「なんで言ってくれないの!」

「言わなくても出せたじゃない。なら言わなくてもいいでしょ」

「ちゃんと〝言う〟って言ったのに。ぶーぶー」


 もー、一々五月蠅いわね。

 子供の振りをする必要ないんだからいいでしょ。


「〝ポータルウインドウデロー〟」

「……心が籠もってない……」

「あ?」

「一覧から〝地上〟を選んで!」

「はいはい、選ん――」


 うっ、お腹の中がフワッと浮いたような感じがする。


「うわっ」


 ここが次元収納の中? と感じることもなく、目の前に父さんが居た。

 でもこの感じ……ポータルのときと同じ?


那夜(なよ)ー!」

「ぎゃあ!」

「痛っ! なんで殴るの?!」

「いきなり抱きつくからでしょ!」

「だからって殴らなくてもいいじゃないか! しかも〝ぎゃあ〟って……父さん傷つくなぁー」

「なら今後いきなり抱きつかないことね」


 今回はモナカを背負っていたから反応が遅れたけど、次はちゃんと反応してやる。


那夜(なよ)

「なによ」

「抱きついてもいいかな」

「ダメに決まっているでしょ」

「ほらー」

「なにがよ」

「〝いいわよ〟って言ってくれないじゃん!」

「だからいきなり抱きついたって言いたいの?」

「うん」

「余計ダメでしょ! 父さんじゃなかったら警察に突き出すところよ」

「モナカくんでもか?」

「………………そうよ」

「今〝間〟があった! かなり長い〝間〟があった!」

五月蠅(うっさ)い死ねっバカ!」


 大体そんなことモナカが言うわけないじゃない。


「酷い!」

「いいからいい加減抱きつこうとしないで!」

「やーだー久しぶりの親子の対面じゃないかぁー」

「ならさっさと母さんに会いなさい。その後だったらいくらでも抱きついていいわよ」

「本当か!」

「うえっ?!」


 まさか食いついてくるとは思わなかったわ。


「本当に本当だな!」

「え、ええ。いいわよ」

「ぃやったあ!」


 そんな飛び跳ねるほど嬉しいことかしら。

 まったく。

次回、足りてますよ

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