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第136話 スライムが襲って……

「なんなのですなんなのです! どいつもこいつも僕を無視して好き勝手するのは止めるのです! こうなったら、奥の手なのです。2389号君にこれを投与するのです」


 えっなに? 大人しかったスライムが動き出したわ。

 私久(わたひさ)さんがなにかしたの?


『マズいのでございます』

『ナームコさん? どうかしたの?』

『侵食君が暴走しているのでございます』

『侵食君?』

『そこに居るスライムのことでございます。非道にも兄様の一部が使われているのでございます』

『一部?!』

『一部ってどういうことですかっ!』

『右手小指のことなのでございます』


 右手小指?! あっ、無い! 小指を切り取ってスライムにしたってこと?!


「いやぁぁぁぁぁぁっ!」


 お義姉ちゃん?!


「マスターの……ああ、あ、あああああああああああああ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい――」


 えっ、なんで〝ごめんなさい〟? てっきり私久(わたひさ)さんに敵意を剥き出しにして怒ると思ったのに。

 アイコンの形が崩れてグニャグニャになっている!


『トキコ様? どうかされたのでございますか?』

『あ、はい。お義姉ちゃんが取り乱しちゃって。何故か〝ごめんなさい〟って言っているわ』

『〝ごめんなさい〟……でございますか。もしかしたら右腕のことを思い出されたものと存じるのでございます』

『右腕……』


 モナカの右腕が義手になったのは、お姉ちゃんが切り落としたからだ。でもそうしなければモナカは死んでいたはず。

 モナカもお姉ちゃんを責めていなかった。むしろ感謝していた。

 それでもお姉ちゃんは罪の意識をずっと抱えていたってこと?


『タイム様、ご安心なされるのでございます。この程度でしたら簡単に元に戻せるのでございます』

「ああああああああああああ」

『ダメ、聞こえていないみたい』

『存じたのでございます。ですが今はここを脱出することを優先させるのでございます。ああなってしまってはわたくしの命令を聞かないのでございます』

『分かったわ』

『先に行くのでございます。スライムはわたくしが責任を持って食い止めるのでございます』

『一緒に逃げないの?』

『あれでもわたくしの可愛い侵食君なのでございます。わたくしの手で、止めてあげるのが慈悲というものなのでございます』

『そう。無理はしないでね』

『承知したのでございます』

「さあ2389号君! 捕らえるのです!」


 きゃっ、スライムが襲って……来ない?


「なにを戸惑っているのです。本能のまま1号君、2号君、4号君を捕らえるのです!」


 ウネウネと(うごめ)いているだけで襲ってこないわね。命令に抵抗しているの?


「なにをしてるです! 僕ではなもがごぼ…………」

私久(わたひさ)さん!」


 私たちじゃなくて私久(わたひさ)さんに襲いかかった?! 味方じゃなかったの?


「無駄よ。どうせ生きているわ」

「え?」

「貴方……敵まで心配してどうするの」

「だってあのままじゃ死んじゃうよ!」

「殺しても死ぬような男じゃないわ」

「でも……」


 殺されて死なない人なんていないと思うんだけど……


「だったら1人残ってあれを助けなさい。その代わりモナカは貰っていくわ」

「それはダメ。返してもらうわ」

「なら私を見失わないことね」

「スズ様、運ぶ君、2人はトキコ様について行くのでございます」

「了解」


 あ、やっぱりあれに乗っているのが鈴なのね。

 で、あの袋を担いでいるのが運ぶ君?


『ナームコさん、デイビーさんは何処?』

『運ぶ君が運んでいる袋の中でございます』


 あの中?! とても人が入っているような形に見えない。本当にスライムみたいになっちゃったんだ。

次回、物知りな人

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