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第132話 偵察用鉄人形

 シャコと連絡が出来なくなったのでございます。アトモス号になにかあったのでございましょうか。

 火鳥(カタヨク)様がいらっしゃればアニカ様と連絡が出来るので、アトモス号の様子が分かるのでございますが……

 それにしても部屋の外が騒がしいのでございます。デイビー様も隔離されてしまったので安否が分からないのでございます。

 あぁ、兄様っ! 兄様はご無事なのでございますか?

 そうでございます! 小型鉄人形(ゴーレム)の偵察君に偵察させるのでございます。鼠型と茶平虫(ちゃびらむし)型の2体に行かせるのでございます。さあ行くのでございますっ!


「チュウ!」

「カサカサッ」


 鼠型は換気口から、茶平虫型は扉の隙間から行くのでございます。


「カサカサッ!」

「なに? 隙間が無いだと。ふむ、ならばお前も換気口から()け」

「カサッ!」


 予定は狂いましたが、途中でちゃんと二手に分かれられたようでございます。

 兄様……何処にいらっしゃるのでございますか。

 シャコに任せたわたくしが悪うございました。今からでもお助けに参りたいと存じるのでございます。

 ですが、スズ様を残して行くことは、わたくしには出来ないのでございます。

 ああっ、わたくしはどうすればいいのでございましょう。


〝チュウ!〟

「なに、デイビー様を見つけただと? よくやった」


 ふむ、送られてきた映像を見る限り、なにかをされたということは無さそうなのでございます。というより、完全に放置されているようでございます。一応部屋に移されているようではございますが……袋詰めのままなのでございます。

 見張りと思しき者も共に居やがるようでございますが、部屋の隅でガタガタと震えやがっていらっしゃるのでございます。袋がピクリと動く度に悲鳴を上げて、無様なのでございます。

 どう扱えばいいのか分からないようでございますね。デイビー様を後回しにするなにかがあるのでございましょうか。なんにしても、生きていらっしゃるようでございます。

 そんなことより! 兄様は何処にいらっしゃるのでございますかっ!


〝カササッ!〟

「む! 兄様の反応を見つけただと!」


 これは……兄様の右腕と融合した侵食弾の反応でございますか。


「な、なんだこのスライムは! これが……これが兄様だとでも言いたいのかっ!」

〝カッ、カサササッ〟

「ではなんだというのだ! この侵食弾はわたくしの特製品。他の者には作れない物だぞ」

〝サッカササッ〟

「なに? 反応が2つあるだと?! まさか……このスライムは……兄様の子供?!」

〝カサッ?!〟

「シャコの野郎! とうとうヤりやがったな。わたくしという者がありながら、あのような者と情事に及んでしまわれたのでございますね」

〝カッ……カサー〟

「違うというのかっ!」

〝カサッ!〟

「目の前の男? なんだこの変なおっさんは。いつ現れたのだ! こいつが兄様をヤったというのか! ゆるさん! ゆるさんぞ! わたくしの侵食弾ならば、どのような形になってもわたくしの侵食命令を受け付けるのでございます。侵食君、目の前の男を襲うのでございますっ!」


 よし、やはりわたくしの命令を受け付けたのでございます。暴走はしていないようなのでございます。

 まずはこの男の脳から情報を得るのでございます。鼻から侵入し、嗅神経経路を通じて脳へ触手を伸ばし、接続……成功したのでございます。

 さて、この男はどのようにして細胞を入手……なに? わたくしの大切な兄様の小指を切り落としただと?!

 ああ惨いのでございます! このような切り落とし方……さぞかしお痛かったことでございましょう。しかも抵抗できないことをいいことに殴る蹴るといった暴行までお受けになられたのでございますね……お労しいのでございます。

 許せない……絶対に許せないのでございますっ! わたくしの! わたくしの兄様を……ドロドロに溶かして、意識だけは最後まで残してやるのでございます。簡単に死ねると思わないのでございますっ。その愚かな行動の結果を後悔しやがれるのでございます!

 あーっはっはっはっはっ。

 っははは、まだ仲間が居たのでございますかっ! 行くのでございます、侵食君!

 ……あら? あれはシャコではございませんか? 全く、紛らわしいのでございます。

 わたくし的にはこのまま襲ってしまっても宜しいのでございますが、兄様が悲しむところは見たくないのでございます。

 侵食君、お座りなのでございます。

 ……よしよし、ちゃんとお座りできたのでございます。後で褒めてあげるのでございます。

次回、下剋上

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