第13話 最後に希望を残して
俺と時子とフブキはオオネズミ狩りにいそしんだ。このくらいしか家計の足しにできるようなことがないからな。
トレイシーさんは気にしなくていいと言ってくれるけど、やっぱり気になる。
それに山なら模擬戦をしても周りに迷惑が掛からないからな。魔神や神獣の立体映像を町中で出すわけにもいかない。
時子は日に日に携帯を使いこなしていっている。今では模擬戦で魔神王と1人で渡り合えるほどだ。
俺? んー、魔神王2人に勝てないくらいかな。
え? デニスさん? 聞かないで…………
夕方には帰ってダンスの練習。
……本当に意味があるのだろうか。
そして寝るときにタイムが作った脳内ゲーム・塔の登頂を試みる。そもそも最上階って何階なんだ? 今居るのは何階だ?
終わりは……来るのだろうか。
ナームコと鈴ちゃんは工房のお手伝い。
あの1週間以来、俺と離れても駄々をこねなくなった。これが親離れってヤツか。ちょっと寂しい。
夜はアトモス号の整備だ。
なので鈴ちゃんと全然遊べない。子離れが出来ないってヤツだろうか。
アニカは相変わらず本契約のため修行中だ。
同じ山に居るけど場所が違うので会うことはない。
中々成果が上がらないようだ。
デイビーは普段は中央で仕事だから顔を合わせなくて済む。それでもデニスさんのデータ解析が出来て場所が分かったときに連絡をよこしてくる。
今度こそエイルに会えるだろうか。
でも何処も彼処もハズレばかり。結界は張られていたものの、中は既に滅んでいた。結界すら無く、ただただ灰が一面に広がっていたところすらあった。かろうじて残っている瓦礫も触れば崩れるほど脆い。
そんなところにエイルが居るはずもなく、デイビーが調査し終えるのをアトモス号の中でボーッと待つだけ。ボーッとしていると魔神王のやっていたこともあながち間違っていなかったのでは……と思ってしまいそうになる。いや、きっと見つけていないだけで結界都市みたいに生き残っているところもあるさ。
そういえば大穴が開いていたことがあったっけ。あれはなんだったんだろう。
デイビーが〝最近人為的に開けられた穴の可能性があります〟と言っていた。
人為的……エイル? まさか……ね。
そんな日々を過ごして半年、また連絡が届いた。解析可能なデータはこれで最後だという。
これでエイルに会えなければ当てもなく探すしかなくなる。或いは帰ってくるのを待つだけに……
待つのはイヤだな。
でも当てもなく探すのは鈴ちゃんの負担になる。
何処に行ったんだよ、バカ野郎。
次回からエイルのターン