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第120話 時間の流れ

 あまり感情を表に出さないお義姉ちゃんだけど、モナカのことになると前が見えなくなるみたい。


「それに先ほども言いましたが、今の私は外に出られませんから会いに行けないんです」

「連絡くらい入れられるんじゃないの?」

「ルイエさんに気づかれてしまいます」

「それはモナカを助けることより優先させることなの?」

「気づかれた結果、ルイエさんが居なくなって皆さんと連絡が取れなくなる可能性がありますから」

「そっかぁ。そっちは手詰まりなのね」

「はい。私が不甲斐ないばかりに……マスター、ごめんなさい」

「気にしすぎよ。モナカはそんなことで怒ったりしないわ」

「そういう問題ではないのですっ」


 ナームコさんもそうだけど、お義姉ちゃんも相当こじらせているみたい。


「時子さんが無関心過ぎなだけですっ。そんなんじゃタイムどころかエイルさんにも負けてしまいますよ」

「負けるってなによ。別に勝負なんかしていないわ」


 カップを両手で持ってカフェラテを一口飲む。すっかり冷めちゃったな。


「まだそんなことを言ってるんですか……〝アンナコト〟がいつまでも通じると思わないで下さい」

「別に……そんなんじゃ……」


 そもそもそれを言っているのはモナカだし。

 それに私だって十分積極的に行っていると思うんだけどな……

 このカフェラテみたいに甘いのかな。


「あまり長居すると目立ちます。移動を推奨します」

「そうね」


 サンドイッチはとっくに食べ終わっているし、ポテトもシナシナだし、カフェラテも殆ど残っていない。


「でも何処に行こうかしら。精霊界とか?」

「無闇に行くのは止めましょう。万が一目撃されて神隠しだなんだと騒がれるのは得策ではありません」

「トイレで帰還すればいいんじゃない?」

「お客様がトイレから出てこない。確認しに行ったら居なかった。ということになり、結局騒ぎになります」

「そっかぁ……」


 両肘を突いて残りのカフェラテをすする。

 悪くない方法だと思ったんだけどなぁ。


「それに忘れたんですか。精霊界と人間界では時間の流れが違うんですよ」

「あーそうだった」

「マスターが捕らわれたのはもう昨日のことなんですからね」

「ええっ?!」


 ほんのちょっと精霊界に居ただけなのに! 感覚的には夜なのに外がまだ明るいのはそういうことなのね。だから眠かったんだ。


「どうしてそんな重要なことを今まで黙っていたのよっ!」

「え、気づいてなかったんですか?」

「言われなきゃ分からないわよっ」

AR(拡張現実)の時計表示を見れば直ぐ分かることじゃないですか。常に表示されているでしょ」

「え、何処?!」

「それも気づいてなかったんですか?! ……情けない」

「ぶーっ」


 いつも携帯(ケータイ)、今は携帯(スマホ)か。で確認していたから、そんなの気にしていなかったよ。

 あー、これね。う……確かに日付が変わっている。

 モナカ……無事かな。


「はぁ。公園で散歩でもしていようかな」

「ですから目立つなと」

「あら、OLが公園を散歩するのは普通でしょ」

「……はぁ。そうですね。好きにして下さい」

「うん。そうする。あーあ、お義姉ちゃんが顕現できたら一緒に歩けるのにな」

「……そうですね。お会計の仕方は分かりますか」

「注文したときに払うシステムだから、もう終わっています」

「そうなんですか。では出ましょう」

「はぁーい」

「だから返事は」

「はいっ!」


 えーと、公園は何処かな……あ、お義姉ちゃんがルート表示してくれた。

 これ、私以外には見えないんだよね。モナカはこうやっていつもお姉ちゃんとコミュニケーションを取っていたんだ……

 う、結構距離がある。公園に行くまでが既に散歩だよぉ。

 ……散歩か。花ちゃんの散歩……誰がしているのかな。

 もしこのままモナカが居なくなったら、私はどうしたら…………

 ううん。モナカは絶対に助ける。そのためにエイルさん……居るなら力を貸して。

次回、知られてはいけない

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