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携帯は魔法杖より便利です 第6部 古の都  作者: 武部恵☆美
第1章 それぞれの半年
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第12話 最後に希望を託して

「1秒未満にしなさい」


 そう言われてから結構経つけど、いまだに達成できていない。そもそも魔法文字を崩して発動させる……ということが出来ずにいる。最初は時間が掛かってもいいから読める程度に崩して書こうとしたが、書いている途中で破綻してしまっている。


「当たり前だ。破綻する前に書き切らなきゃならないんだからな。そういう意味では魔法文字はもっとも安定した形なんだ。だから周知させやすかった」


 破綻する前に書き切れ……ね。

 やってみると意外と簡単にできた。これなら達成できる! なんて簡単に思ったのが間違いだ。確かに崩して書くことで発動までの時間をかなり短縮できるようになった。でも自分でも読めないくらい崩してしまうと書き切れても発動しなくなってしまった。


「っはっは。そんな簡単にできたら苦労しない。父さんだって随分掛かったからな。気にするな」


 気にするなと言われても、父さんは出来るのに自分は出来ないというのが悔しい。

 父さんの娘なのに……


 魔法文字もそうだけど、魔法陣の方も中々厳しい。

 形が崩れれば崩れるほど消えるのが早くなる。崩しすぎると描ききる前に崩壊してしまう。最低限の形を保ちつつ、いかに早く描くか……だ。しかも魔法文字を書ききるだけの時間は保てないといけない。

 両立が難しい。

 なんとか10秒は切ったものの、そこから先が進まない。

 そうしている間にも1カ所、また1カ所と潰していく。

 あれから生き残りを見かけていない。わざわざやる必要があるのか? というような場所ばかりだ。

 父さんが言うには魔素に侵食された元素は処理しなければならないらしい。要するに混合物は放っておいてもいいけど、化合物はひとつひとつ丁寧に潰さないとシミになるという。それをどうやって見つけているのかサッパリ分からない。


「全てはイーブリン様の導きだ」


 千年ババアの導きね。破滅への導きじゃなきゃいいんだけど。

 大体最終的には星の半分を入れ替えて元に戻すんでしょ。たかが人間一人の力でそんなことが出来るとは思えないわ。

 仮に出来たとしても、こんな荒廃した土地が戻ってきて意味があるのかしら。


 移動の合間に一筆書きの特訓をする。

 目的地に着いたら消滅の魔法陣を描いて魔力を溜めながら一筆書きの特訓をする。

 消滅の魔法陣に魔力が溜まったら発動させて消滅させて、父さんが確認している間にまた一筆書きの特訓をする。

 そんなことを半年も繰り返したのにいまだに達成できていなかった。


「次が最後だ」

「最後?」

「そうだ。そこを浄化したらイーブリン様をお迎えに行く」

「……そう」

那夜(なよ)のお陰でかなり計画が前倒しできた。ありがとう」

「母さんの為よ」

「分かってる。全てが終わったら、母さんの元へ帰ろう」

「…………ええ」

次回、人為的?

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