表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/193

第111話 子供扱い

 データベースにある在庫記録を漁ってみたけど、あの男の言うとおり、ここには無いみたいね。

 他の施設にあるとは思えないから、もしかして詰んだ?


「目的の物は手に入らなかったのかい?」

「ううん、手に入ったよ。なんで?」

「浮かない顔をしてるからかな」

「ふふっ、そんなことないよ」

「あんた、そこで戻すの?」


 チッ、五月蠅いわね。ちょっと気が緩んだだけよ。

 とりあえず女を睨み付けて、微笑みながら男に視線を戻した。


「あっはは。疲れないかい?」

「う……な、なんのことかな」

「あんたまだ続ける気? もうバレてるんだからいいでしょ」


 ほ……本当にバレている……の?


「……いつから?」

「いつからって、えっと……最初から?」


 さ……嘘でしょ!

 だって……はあ?!


「あっはははははは!」


 くっ、これ見よがしに笑わないでくれる!


「なんで……分かったの」

「んー、子供っぽい話し方だなって思ったけど、内容は子供っぽくなかったからね。そういう話し方の子かなくらいにしか思ってなかったよ。でも寮母さんと話すときは口調が違うからちょっと変だなとは思ってた」

「だったら先に言いなさいよっ!」

「あはははははははははは」

「そこ! 五月蠅いわよっ」

「ひぃっひひひひ。那夜(なよ)の……くく、声の方が、ひっ、大きいじゃない。っふふふふふふ」


 むぐぐぐぐ……


「あ、貴方が……貴方が最初に私のことを〝那夜(なよ)ちゃん〟って呼んだからでしょ!」

「えっ」

「私は〝ちゃん〟付けされるような年じゃないわっ」

「ええっ?!」

「あー、それは拾十(ひろと)が悪い」

「俺が悪いのかよっ」

「なら私のこと、ちゃん付けで呼ぶ?」

「……呼ばないな」

「同僚の女の子は?」

「……呼ばないな」

「同級生は?」

「今は呼ばないな」

「中高生の女の子は?」

「それは呼ぶ……かな」

拾十(ひろと)……それは失礼なことよ。止めなさい」

「ええっ?!」

「大概の子はそんな子供に見えるのかなって傷つくわよ」

「俺から見たら学生なんてみんな子供だぞ」

「あんたは……そういうことを言ってるんじゃないの! 分かりなさいよ。全く」

「ごめん」

「私に謝ってどうするの!」

「あ、そっか。ごめんなさい。俺が悪かった」

「もういいわ。言っておくけど、私の方が年上なんですからね」

「えっ?」

「は? あんたなに言って――」

「目上の人を〝あんた〟なんて呼ぶもんじゃないわ」

「う……なら那夜(なよ)さんは幾つだっていうのかしら」

「あら。女性に歳を聞くなんて失礼なんじゃない?」

「それは……ごめんなさい」

「いいわ。でもそうね。多分50を回ってたと思うわ」

「それは幾らなんでも盛り過ぎでしょ!」

「前世の記憶が残っているのよ。って言ったら……信じる?」

「前世?!」

「……なんでもないわ。とにかく一旦車に戻るわよ」

「は、はい……」


 なにしてるのかしら。ガラにもなくペラペラ喋って……

 ダメね。

 っと、身分証が震えてる? 幻振症候群……ではなさそうね。

 こんなところまで魔波が届くとは思えないけど……え、圏内になっている? 嘘でしょ。

 一体誰が……通知不能番号……か。

次回、電話に出ます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ