第101話 目立たないコスプレ
エイルさんを見つけるためにまずはアクセスできる端末を見つけないといけないんだけど、そんなもの何処にあるのかしら。
やっぱり電気屋さんかな。
でも人目について目立つだろうし……どうしよう。
「お義姉ちゃん、何処に行けばいいの?」
「そうですね。家電量販店にでも行きましょうか」
「家電量販店……それって目立つんじゃない?」
「一般人が町中を歩くだけです。出入りを見られなければ問題ないでしょう」
「そうかな」
「そんなに心配でしたら、変装しておきますか」
「変装?」
「この中から選んで下さい」
「この中って……」
制服(夏)・制服(冬)・体育着・ジャージ・武闘家・犬耳・猫耳・ナース・武士・魔法少女……って、これお姉ちゃんの変身コスじゃない!
そういえば1度体育着に着替えたことがあったわね。
あれは上着が少し短い上にブルマで恥ずかしかったな。
……あの格好になるの?!
どれを着ても逆に目立つような気がするわ。
だって普段着が何処にも無いじゃない。
結局無難なのが制服しかないわ。
今着ている服の方がまだマシよ。
「このままでいいわ」
「でも同じ格好だと見つかりやすいんじゃないですか?」
「う……」
そう言われるとそうよね。
となると……うーん。
これかしら。
「タイム・オブ・時子! OLモード、時子ちゃん! ………………」
「なにしゃがみ込んで顔を隠しているんですか」
忘れていたわ。この恥ずかしい口上と変身シーンと決めポーズ。
強制的に言わされるし、シルエットとはいえ裸なのは止めてほしいし、最後に決めポーズも勝手にとらされる始末。
どうしてお姉ちゃんはモナカの前で平然と出来るんだろう。
……誰も見てなかっわよね。
「キョロキョロしても誰も見てなかったから大丈夫ですよ。そもそも見られて恥ずかしい体型じゃないでしょ」
「見られることが恥ずかしいの! お姉ちゃんはよく平気で出来るよね」
「……平気なわけないじゃない」
「えっ?」
「いえ、私はお姉ちゃんじゃないから分からないわ」
「そう……」
「それじゃ、仕事帰りを装って家電量販店に行きましょう」
仕事帰りか。
白の長袖ブラウスにノースリーブの黒ベスト。胸元のボタンとボタンの間が開いているけど、大きな青いリボンが隠してくれている……かな。
太ももに張り付くような黒いタイトスカート。ちょっと短すぎない? 左脇にスリットまで入っているし。これ、走れるのかしら。
白のくるぶしソックスに黒革のパンプス。低いけどヒールって初めてなのよね。ちゃんと歩けるかな。
どう考えても仕事中の格好よね。仕事帰り?
「でも家電量販店でどうするの?」
「端末を購入します」
「買うの? ここってポウト使えるのかな」
「問題ありません」
「そうなんだ。じゃあ行こうか…………で、何処にあるの?」
「この路地を出て右に進んでいけばあるはずです」
「分かった。行きましょう」
次回、状況整理