冥界人のお仕事
――ピピィー、ピピィー。――
こちらエルシア号。
緊急事態発生。
現在位置、ケンタウリβの衛星軌道上、救助を求む。
――クルー全員の安否不明。繰り返す……ガガッ、ピピィー。
安否……フ…メ……イ。
立派な木製の机が部屋の中心に聳え立つ。
その上には、エンマという名の女性がすらりと長い脚を組んで腰かけていた。
彼女の足元では、光を飲み込むような深い黒の革靴が揺れている。
エンマが身につけているスラックスは肉感的に曲線を包み込みながら、一部で大胆に肌を露出していた。
膝から上、細く引き締まった太ももがスラックスの切れ目から優雅に姿を現している。
切れ目から覗く太ももの肌は絹のように滑らかで慎ましいほどに白く、薄暗い部屋の中で一部だけが淡い光を放っていた。
それはまるで彼女自身が闇を吸い込み、その中に健康的な女性の色香を灯しているかのようである。
エンマは足を軽く揺らしながら、目前に控える一人の男を見据えた。
その男はアオと呼ばれる彼女の従者で、年の頃は三十代後半ほど。
漆黒のスーツに身を包み、端正な顔立ちには常に薄い微笑が浮かんでいる。
どんな時でも沈着冷静な彼の態度は、エンマにとって少々鼻につくほどだった。
「アオよ、次はここへ行ってもらいたい。」
彼女はそう告げると机から脚を下ろし、地図が広げられた机上の一点を指し示した。
そこには複雑に入り組んだ銀河系の星図が描かれている。
アオは指示された箇所に目を凝らしす。
そして、彼の視線が捉えたのは、その中心部に示された一点だった。
アオはぽつりと呟く。
「これは……宇宙?」
「ケンタウリという星系の軌道上に、『エルシア号』という船があるの。」
エンマは地図の上を滑らせていた指を止め、淡々と続けた。
「先日、その船内で転生生物の反応が確認されたのよ。もしその転生生物が前世の記憶を保持し、人に危害を与える存在ならば——即刻抹殺してほしいの。私のメンツにかかわるからね。」
その命令に、アオは一瞬目を見開いた。しかしすぐに平静を装い、いつもの調子で尋ね返す。
「また、何かやらかしたのですかな……?」
「……うるさい。」
彼女は短くそう言い放つと、今まで説明していた星図を二つ折りにして閉じた。
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