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海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒  作者: ビートたかし(TAKASH)
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1st Stage "第八音専"


第八音楽藝術技能特別専門学校 "通称 ― 第八音専" 


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


『本日は学校説明会にお集まりいただき真に光栄でございます。

それでは時間も押しておりますので、さっそく本校の説明に入りたいと思います。』


当校は"第八音専"として知られておりますがその正式名称は第八音楽藝術技能特別専門学校と申します。

全国に10校ある音楽藝術技能特別専門学校のうち、8つ目に開校されたのがこの第八音専でございます。


音専は若く有望なビートマニアプレイヤーを集め、優れた指導と環境でプロランカーを育成することを目的として設立された専門学校です。

現在では音専出身のランカーも多く、例えばあのOne-PIN氏も音専出身のトップランカーとして注目を集めています。


この第八音専は全寮制で、生徒の個室にはInfinitasを完備。部屋は防音室になっておりどんな時でも気兼ねなくビートに打ち込むことが出来る環境を整えております。

また当校自慢の演習室には60台ものライトニング筐体が設置され、常時解放されています。


『第八音専は音専の中でもトップクラスの練習環境で、今も未来のプロランカーたちを育てています。

我が校の夢のような環境の中で、お子さんやご自身の夢を叶えてみませんか?』


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


・・・久しぶりに昔の夢を見たな。お前、どこから俺の部屋に入った? 

まぁいい、なんで俺のところに来たのかは分かってる。

この学校はゴミだ。こんな所に入っちまったのが俺の運のツキさ。


俺はランカーになる夢を持ってこの学校に入った。しかしここでの生活は悪夢だった。第八音専では生徒の名前は全部冥Anotherの点数で呼ばれるんだ。穴冥のスコアが3000点なら3000ってな。


隣の部屋のやつは3290。反対側のやつは3415だ。どうだ?分かりやすいだろ?

俺の名前は・・・ 3547って名前だ。とうに本名なんぞ忘れちまった。


全ての生徒はこの点数ごとにクラス分けさ。

ちなみに3556以上、つまりAAAクラスはいわゆるランカークラスの生徒だ。給料をもらいながら活動することになる。3700以上になればスポンサーも付き、一人前のプロランカーとして音専を卒業することになる。まぁこんなことは当然知ってるだろうがな。

反対に3556未満の生徒はDJ NAMEを名乗ることさえ許されない。

この音専は歴史上3人しか達成したことのない3900台のレジェンドランカーを育成するのが目的だ。

俺も入学当初は優秀な成績だった。だがよ、何年もここに居るうちに同級生にはどんどん置いていかれ、

下級生でももうAAAクラスの奴が出てきてる。自分に才能が無いことなんか嫌ってほど分かってんだ。

もう3年も3547から穴冥のスコアが変わってない。


普通なら、長い間同じ点数の生徒には退学勧告が出るもんだが・・・ 悲しいかな3500点以上の生徒には退学勧告が出ない。

これが困ったもんで・・・ 両親には何度もここを辞めたいという手紙を出したんだが何の返事もない。

なにせ俺が第八音専に入ったとき親戚中に自慢してたからな。金だけ出して俺をお払い箱にするつもりらしい。

今さら「やっぱり、ダメでした」って帰って来られるとメンツが丸つぶれなんだろう。薄情な連中だよ。


そして俺はこのクソくだらねえ学校から強制的に退学させられるための策を考えた。

それは・・・学校の持つ情報の中でも最も重要なデータの改竄。そう、穴冥のスコアの改竄だ。

今日の放課後、俺は学校のサーバをハッキングし、俺のスコア3547を書き換えておいてやったのさ。

書き換えるスコアは何点でも良かったんだが―3900を超え・・・3979点にしておいた。

もちろん俺のデータだけ書き換えるんじゃすぐバレるから他の何人かのデータも無茶苦茶に改竄しといたぜ。

まっ、明日か明後日になれば犯人が俺だってバレるだろうがな。

それまでの間、きっと学園中は大騒ぎになるだろうな。ハハッ!騒動も退学も楽しみだぜ。


そんなわけで今日はいろいろあってな。もの凄く眠いんだ。もっかい寝かせて貰うぜ。じゃあな。 



――――翌日 理事長室にて。

「おはようございます理事長!昨日のスコア改竄事件について二点、お伝えすることがあります。」

「二つ? 続けたまえ」

「一つ目は、犯人は本校所属の3547だったということです」

「3547・・・ フン、よくも私の顔に泥を塗ってくれたものだ。 で、二つ目はなんだ」


「その・・・3547が・・・ 昨夜、誘拐されたようなのです。

 しかもそれがどうやらアングラランカーの仕業のようでして・・・」

「アングラランカーだと!? そんなことがあってたまるか! 寮の警備は一体どうなっていたんだ!!」

「それが・・・ 当直の警備員がちょうど交代する隙を狙われたようでして・・・」

「何だと!後で担当者を怒鳴り付けてやるわ!

「しかしだ、奴らは3547を・・・ 3900相当の覚醒者と見込んで誘拐したというのか?」

「正直、その可能性はかなり低いかと思われます。さすがに奴らなら、纏うビーラを見れば覚醒者かどうか見分けられるかと」

「なら良いが・・・ ではなおさら謎は深まるばかりということ・・・」

「理事長、この件は穏便に解決なさる方がよろしいかと」

「アングラランカーに生徒を誘拐されたとあっては私の進退、いや、第八音専の将来に関わるからな。穏便な解決を頼んだぞ」

「ははぁっ!」


『報告書:3547スコア改竄事件』

本校生徒3547が、某日、スコアサーバをハッキングし、冥のスコアを3979に改竄した。その後学校寮内から脱走後失踪し、行方を眩ませた。

処分・・・3547を本人不在のまま除籍処分とし、

本人の行方が判明し次第、学校委員会で法的措置を検討する。


以上



to beat continued...


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