意味がわかると怖い話
あたし、みき。
いたって平凡な中学生。
……なんだけど、まぁ、うん。ちょっと大声では言えないことがあって……ね。
それを親友のともこに伝えようと思うんだ。
家族はもう知ってるけど、身内以外の人だったら最初にともこに知ってほしかった。
ともことはずーっと仲良しだ。修学旅行だったら寝る部屋はもちろん。バスだって隣だし、お土産も全額おそろに注ぎこむくらい仲がいい。
あたしの唯一無二の親友だ。
「ともこ!」
帰り道ともこがいたので話かける。
ともこは振り返って「みき」と名前を呼んだ。
よし、言うぞ。
「あのさ、良いニュースと悪いニュース、どっちから聞きたい?」
ちょっとおどけて聞いてみた。
やっぱりそっちのほうが面白いし、あたしらしい気がする。
「う~ん、悪いニュースかなぁ?」
ともこはどうでもよさそうにぽけーっと答えた。
まぁ、ヘンにパワフルじゃないのがともこだ。これでこそ通常運転。
「あたしね、あと一ヶ月で死んじゃうの」
あたしには生まれつき病気があって、こないだお医者さんに余命を教えられた。
最初聞いたときはショックで真っ暗になったよ。でも中学生まで生きられたのは奇跡らしい。だったらすごくあたし、ついてるなぁって嬉しくなった。
ともこはあたしの告白に泣いてはいなかった。
それどころか無表情だ。
「みき、ビックリだよ」
ともこはいつもどうりのポーカーフェイスだが、声が少し違った。
少し呆れているような声だった。
「私悪いニュースが聞きたいって言ったのに。良いニュースを言うなんて。言葉も伝わらないみきにはホーント、ビックリだよ」