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ろー5

高齢者施設をいくつか回ったが詳しい話しは出てこないわりに『ろうか橋』という言葉が出てくることはあった。心配事や悩み事がある人に対して言う言葉という共通点はあったが明確な意味までは伝わっていないようだ。『なにもなければただの橋』という言葉どおりに考えれば、『心配しすぎ』とか『深く考えるな』とか、そう言う意味合いなのかもしれない。あるいは結果だけ見て大した問題はないと励ます言葉だったのかもしれない。谷町さんが実際のろうか橋を見てみたいという事だったので彦根城までやってきた。

彦根城の入場料は2024年10月から値上げされる。

個人で訪れる場合は大人が800円から1000円に、子供が200円から300円となり、団体割引も人数で30人以上、100人以上、300人以上となっておりだいたい大人800円、子供240円となっている。

学生の修学旅行や校外学習などを想定したり、外国人ツアー旅行客に向けた料金なのだろう。

山道に階段が作られ歩くのに苦労する事はないが、それでも傾斜が急になっているところもあるので、行く時は靴にも注意が必要かもしれない。

少し山道を上ると石垣が現れ、その上方に橋がかけられている。これがろうか橋である。

谷町さんが、

「この橋が落ちる仕掛けになっていたという事ですか?」

「そうですね。落ちたことがないから実際にはどんな感じなのかもわかりませんが、この橋がそうです。」

いろはが言い、何かに思い当たったかのように周りを調べ始めた。そして橋に着いた辺りで、橋を調べているうちに紙を見つけたようだ。

「タモンさん、これ!」

いろはが小さな紙を見せてきた。彦根かるたのろの句の絵札だった。裏側がろうか橋と同じような模様に塗られているため、そこにあると思って探さなければ見つからなかっただろう。

「なんですか?それ?」

谷町さんが不思議そうに覗き込んだ。

「彦根かるたの1つで『ろうか橋 戦になれば 落とし橋』っていう句の絵札です。僕らの調査先でたまに見つかるんです。まるで彦根かるたになぞらえて事件が起こっているかのようにね。」

「えっ?私は何も知りませんよ?依頼したのもたまたまですし。」

「別に疑ってないですよ。そんな都合良く依頼主が結託する事もないですし、何なら僕らの行動を監視したり知っている者が勝手に結びつけてるようにも思えますから。気にしないで下さい。」

「そうですか?私の依頼の方はこれくらいで十分です。

口伝だけで伝わってる方言や言い回しもたくさんありますし、実際にはその時に適当に作られた者が昔からあるように錯覚されて伝わってる事もありますから。

専門家としてこれから文献とかにも登場しないか調べてみます。」

「わかりました、依頼完了ということで処理しますので、一度事務所までお越しいただけますか?」

いろはが聞き、谷町さんが了承した。

調べきれなかった言い回しも気になったが、ここまで彦根かるたに結びつけられる依頼が転がり込んでくる不思議さに比べればたいした問題ではなかった。

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