ろー3
「なかなか、おられないですね。」
いろはが言った。
彦根の方言を調べようにも誰かに聞いて回るという方法しかない。そういった書籍に関しては谷町さんが調べ終えていた上で新発見といえるものがなかったために原始的ではあるが彦根市内に住む人にインタビュー形式で聞いてみたりしていたがその成果はなかった。
「お年寄りでも彦根生まれの彦根育ちってあまりいないのかもしれないですし、見た目とかではわからないわけじゃないですか?」
いろはが続けて言った。いろははどちらかというと人に話を聞くよりパソコンで検索する方が得意だし好きなため自分のテリトリーにない調査方法に少し飽きてきているのだろう。谷町さんが
「まぁ、元からあるかわからないものを探してますから気楽に行きましょう。」
「でも、確かに効率的ではないですね。
もっとお年寄りが集まってる所とか学者の先生を訪ねたりする方が良いかもしれません。そう言った学者のお知り合いはおられないんです?」
「いないですね。いたら真っ先に聞きに行きますよ。」
「そうですよね。なら老人ホームはどうでしょうか?
老人が多いので誰かしら何か知ってるかもしれないですよね?」
「そうですね、可能性はあると思いますし、街中で声をかけるよりかは向こうの方に配慮できますね。」
「よし、いろは。訪問できてお話を聞けるところを検索してくれ。」
「承知しました。」
いろははものすごいスビードでパソコンを立ち上げ、検索を開始した。数分後には施設の特定とアポをとるところまですませていた。
谷町さんはそのスピードに驚いて目を丸くしていた。
そんな谷町さんの反応はおいといて、とりあえずいろはの見つけた老人ホームへと三人で向かった。