ろー1
「方言って良いですよね。」
事務所でくつろいで居たところ、いろはが言った。
「関西弁、博多弁とか色々あるし、沖縄の方言まで行けばまったく聞き取れないようなものがあるくらいだからな。方言ってひとくくりにしたらダメだろ。」
「でも、良く考えてみてください。彦根にいる間は関西弁が普通で外に行かないと自分が方言で話してる事にも気づかないわけですよ?これってけっこうすごい事じゃないですか?」
「それは確かにな。でも、関西弁でも色々と別れるわけだろ。京都弁とか大阪弁みたいになるわけだからな。」
他愛のない話をしていると事務所の扉が開いた。
「失礼します。あの調査を依頼したいんですけど。」
「ソファにどうぞ。」
いろはが案内して依頼人が座った所で改めて
「私、大学で言語学を専攻しております。谷町と申します。方言とかを研究してると思って貰ったら大丈夫です。」
「ほらほら、タモンさん。時代は方言なんですよ。」
いろはがテンションをあげていった。
「すみません、ちょうど方言の話で盛り上がってたのでタイミング的に良かったみたいです。」
「なるほど。興味を持って貰えたら嬉しいです。」
「それで、調査っていうのは?」
タモンが聞いた。谷町さんが
「彦根って結構方言があるんですよ。
例えば『いる』を丁寧に言うと『いはる』になるんですけど彦根弁でいうと『やある』になるわけですし、『来た』も『来はった』が『きゃった』になったりするわけです。地域ごとに色々と言葉が違ってくるのが面白いなと思っておりまして。特にその地域によって言い回しが違ったりするのがあります。彦根でごくごく一部の人が使ってるほぼ忘れられた言い回しがあるらしいんです。
正直にいうとあまり文献が残ってないのであまり期待できないんですけど調べて欲しいなと思いまして。」
「わかりました。市民の方への聞き込みって感じですかね。」
「そうなると思います。ご老人方に聞いて回れたらと思います。」
新しい依頼が来たものの少し難題ぽいなとタモンは思った。




