けー17
「薩埵林は近江八景で言うとどこになりそうですか?」
タモンが聞くと田中さんが悩みながら
「おそらくは唐崎夜雨だろうと思います。
大津市にある唐崎神社という持統天皇に関係する神社でそこの黒松に降る雨を歌川広重が残してます。
黒松があるかは私もわかりませんが松の木くらいあると思います。安直に松の木に隠されてると考えて探すのが楽で良さそうですね。」
「確かにそうですね。」
「あっ!松の木ありましたよ。」
いろはが駆け寄っていって探し出した。数分もしないうちにいろはが裏面に松の木の表皮が印刷された紙を見つけた。
「なになに、とある飲食店で有名な地鶏の玉子を使っていると歌っているが実際はスーパーで購入した玉子を使っている?」
「原材料の産地偽装は結構ヤバイな。保健所とかにばれたら営業停止とかもあり得るだろうな。」
タモンが言い、田中さんが
「う~ん、問題ですね。でも、やはり我々が気にする事でもない感じはしますね。特定もこの情報だけだと難しいですよ?
彦根市の飲食店なんてなん百軒ってありますからね。」
「いえ、有名な地鶏の玉子を使っているの触れ込みだけならかなり絞れますね。ざっと検索しても二十軒見つかりました。
ここから探せばもっと絞れて特定もすぐにできます。」
いろはがパソコンを使いながら言った。
「すごいですね。こんな短期間でそこまでできたんですか?」
「特殊な検索システムを自己作成してますから。」
いろはが得意気に言った。
「システムから自分で作ってるんですね。」
「まぁ、何でも検索できるわけではないですけどね。インターネットに公開されてるものしか見つけられませんからね。」
「いや、それでもすごいですね。」
田中さんが褒めている後ろでタモンが
「それで、怪しい店の特定もできたのか?」
「まだですね。コアな情報の検索はまた別にシステムがありますからね。」
「危なそうなら社長に丸投げしとけよ。」
「そうですね。めんどくさそうになったら社長に任せますね。」
「とにかく、次にいきましょうか。」
田中さんが聞いてはいけない話を聞いたような気まずそうな顔で言った。




