「あー7」
「それでは報告をお願いします。」
事務所でいろはがタモンに言った。前回から数日が経って集まっていた。
「とりあえず目撃者全員に話は聞いてきたけど全員を仮名で言っていく事にする。」
「何かありましたか?」
「それぞれに事情があるみたいだから配慮だな。」
「それではよろしくお願いします。」
「まず一人目のAさんは、60代の主婦だ。駅の周りにごみがポイ捨てされてるのが目立ったので個人的に拾っていたらしく、その過程でたまたま目撃したらしい。Aさんいわく光る眼を見てからごみのポイ捨てもなくなったらしく何か変だなとは思っていたらしい。彼女がこの件に関与している可能性はかなり低いな。
普段からごみ拾いのボランティアをしている所が目撃されていたからたまたま目撃したって話にも信ぴょう性があるし、彼女が彦根を盛り上げようとかそんな理由で行動を起こすタイプでもないし、彼女は旦那の転勤がきっかけで彦根に住み始めた人だから彦根に対する思い入れもそんなにはないらしい。」
「初めて目撃された方ですよね?なんでSNSを通じて発信したんですか?」
「本人は機械関係が苦手でこういう形で発信するつもりはなかったらしいが、この話を聞いた遠方に住む娘さんが面白がって母から聞いた話として状況を詳細に発信したらしい。『#井伊直政』ってタグ付けしたところ歴史好きの人達の間で盛り上がって拡散したらしい。」
「なるほどAさんの意思とは関係なく拡散したからAさんは被疑者から外したわけですね。」
「まあそういう事だ。次にBさんは50代後半の男性で仕事帰りに駅のコンビニでビールを買ってベンチに座って飲んでいたら目が光ったらしい。彼は肥満体質で医者からも飲酒を制限されていて家ではほとんどお酒を飲ませてもらえないらしく、その日は嫌な事があったから無性に飲みたくなって家に帰るまでに飲んでやろうと思ったらしい。びっくりしてビールの缶を持ったまま家に帰って奥さんに怒られてむしゃくしゃしてSNSに愚痴ったらしい。」
「なるほど、被疑者としての観点はどうなんですか?」
「奥さんを怒らせてまで話題作りをするほどの関係はなさそうだな。得るものがなさすぎるし彦根市を盛り上げるためにとかで行動するタイプの人でもなかったから外していいだろうな。」
「今までの二人が目撃順でいうところの一番二番ですよね?他には怪しそうな人とかいたんですか?」
「全部で目撃者は6人、まだ話を聞けてない人もいるから何とも言えないな。」