けー15
観月峯に到着したが、パッと見るとただの小高い道にしか見えないため捜索は難航していた。
「なかなか見つかりませんね。」
いろはに疲労の色が見え始めた。タモンも正直疲れていたが
「月にまつわる場所って事は地面を探してもダメって事かもしれないな。」
そう言って空を見上げると少し高い枝に何かついているのが見えた。
「いろは、あれはなんだと思う?」
「どれですか?…………ああ、紙かなんかがくくりつけられてるみたいですね。どうやってとりますか?」
「はしごかなんかを借りてくる。」
タモンがそう言ってはしごを借りてきた。思った以上にとりやすかった。
「どれどれ、とあるお店の店長は借家業を行っており、家賃滞納の著しい借り主の保証人に借り主が健在であるにも関わらず100万円を請求している…………か。うーん、これは何かいけないことか?」
「保証人にも身元を保証する身元保証人と債務が発生した時に連帯して債務を負う連帯保証人などがあります。
この保証人がどれなのかわかりませんし、契約書の作成者が意図的にどちらかを明示しないで困った時は連帯保証人だった事にして債務を保証人に払わせようとする場合もあります。
保証人の制度は穴だらけで法改正もまったくされてないので、正直に言うと保証人を頼まれても引き受けないのがベストですね。」
「この場合の保証人は家賃滞納分を全額払うのか?」
「詳しくはわかりませんね。裁判で減額を訴えるしかないかもしれません。そもそも借り主が健在でいるのに保証人に払わせようとしている事がおかしな話かもしれませんしね。
借り主がどんな人とかもわからないですし、この店長が家賃滞納に対してどのような方法で家賃の回収を行ってきたのかというのも問題ですよね。不作為により意図的に経済的な損失を追わせた場合、詐欺になる場合があります。
例えば弁護士とかからそう言う風にしろとの助言を受けていた場合はその弁護士は詐欺教唆に当たる可能性もありますね。
まぁ、そんなことになれば弁護士資格剥奪だったり、詐欺教唆をするような弁護士なんて誰も依頼しなくなりますから開店休業状態になるしかないですね。」
「もしかしてこれってかなりヤバイ話なのか?」
「実際に詐欺事件になったらお店の信用とかもがた落ちですね。
歴史あるお店だったら、潰すようなことになったらかなりヤバイですね。まぁ、どんなお店かもわかりませんからやばさはわからないですね。」
「とりあえず社長に任せるか。別のところを探そう。」
「そうですね。でも、市役所から話が出ましたね。
何か大きな話に発展しそうですね。」
「確かにそうだな………………」