けー8
近江八景は江戸時代に綺麗な景色を選んだもので、今となっては変わってしまった所やもう見られない景色もあるだろう。
そもそも玄宮園のどこをさしてその場所の縮図とされているのかは判然としない。先ほどの矢幡の帰帆は船の帰る場所・港と連想させる場所だっただけに連想させる場所でもありと考えるべきだし、正確にこの場所から見たこの景色が八景と言えるならそこを探した方がいいはずだ。
そう考えると犯人はこの場所に詳しい人物またはその関係者となる。そう言う意味では職員の暴露話を知っていてさっきの条件に該当するのはこの捜索を行っている市の文化財保護を担当する課の人である可能性は高い。少し話を聞いて回っても怪しい人はいなかった。上手いこと隠されたのかそれとも犯人がこの中にはいなかったのかわからないが引き続き様子は見ていこうと思う。
とりあえず、それぞれの景色についてどういう場所かを考えないといけないのでいろはと合流した。
「近江八景の各場所はどんな場所か教えてくれ。」
「石山の秋月ですけど、石山寺という747年に聖武天皇の勅令で建てられたお寺で、紫式部が源氏物語を執筆したとされる源氏の間って場所もある結構歴史的に価値のあるお寺みたいですね。
後白河法皇がお月見をした玉座がある場所が今は月見亭と呼ばれていて月が綺麗に見える場所があるようです。
でも今は木々が繁っていてなかなか綺麗に見えない場合もあるらしいですね」
「元になった場所はかなり由緒正しい場所なのはわかったけど、それが玄宮園のどこになるのかを考えないといけないよな。
月が綺麗に見えそう場所って事だよな。」
「月見亭で言うなら八景亭とかの建物もあやしいですね。
月も綺麗に見えそうですし、石山寺の月見亭からは瀬田川と南側の琵琶湖が一望できるらしいので池の景色が見える場所とかになる可能性はありますね。」
「じゃあ建物の辺りから探すか。」
「そうですね。」
二人でとりあえず八景亭の方に向かった。




