けー6
「ここです。」
「船置き場ですか?」
いろはが聞くと職員が
「はい、池を船に乗って周回したりする時に使う船の置き場になってます。矢橋の帰帆は確か船が帰る様子や帰る港とかの意味でしたよね?それならこの場所が船の帰る港とも考えられなくはないかなと思いまして。」
「なるほど確かにそうですね。」
いろはが職員と話している間にタモンは爆弾の捜索を始めていたがそれらしき物はない。色んな所を見ていると船置き場の見えにくい所に何か紙が貼り付けられているのが見えたので手を伸ばして紙をとった。
「何かありましたか?」
「紙が貼り付けられてた。爆弾では無さそうだな。」
いろはの問いにタモンは答えて紙を開いた。パソコンで打たれたような文字が書かれており読み上げた。
「え~と、市の文化財保護部署の三十代後半のいつも威張り散らしてる女性職員は結婚をしたいと思っているが相手がおらず焦りすぎて回りに八つ当たりをしている。結婚相談所や出会い系のアプリで彼女のスマホは通知でパンパンになっている?」
「いや、何ですかそれ?爆弾とは全く関係ないじゃないですか?」
いろはが不思議そうに聞くと横で職員は驚いた顔と笑いをこらえるのに必死になっていた。
「これはそんなに面白い話ですか?」
「いや、誰とは書かれてませんが誰の事かはわかります。最近人当たりがかなり厳しかったのですがそういうことでしたか。」
「これは本人からすれば恥ずかしい話ですよね?」
「まぁ、そうでしょうね。」
「いろは、確か脅迫文にはカタカナでバクとなっててその後に⚪が書かれてたんだよな?」
「そうですね。それが何か?」
「隠されてるのは爆弾じゃなくて暴露なんじゃないか?
いくら爆弾を探しても見つからないのはそもそも爆弾は仕掛けられてないからじゃないか?」
「なるほど、庭園に仕掛けられたときいてバクとついてたからみんな爆弾だと思い込んだかもしれないですね。でも、暴露を仕掛ける意味って?」
「それはわからないが、少なくとも人が危害を受ける物ではない可能性がある。ただ、暴露される側からするとかなりきついだろうから全部見つけないと一般人が見つけると余計な被害がでかけない。これは………見なかったことにしましょう。職員の方たちには職員の方の中の誰かの暴露話が書かれた紙が見つかったとだけ伝えて探すのを紙に変えましょう。これの内容はここにいる三人の秘密にしましょう。」
「わかりました、事実かもわかりませんし次は私かもしれませんもんね。一人を公開したらみんな公開しなければいけなかなりますから。」
職員の人が言った。タモンはとりあえず見つかった紙を自分の鞄の中に入れた。