けー1
「あの~よろしいでしょうか?」
いろはとタモンのいる部屋に気弱そうな男が入ってきた。
今日は依頼の相談の予定はなかったから飛び込みの客かなといろはが対応に向かった。
「どうぞ、こちらの席にお座り下さい。何かお困りなんですか?」
「はい、実は私は市の文化財を管轄する部署に勤めている田中ともうします。今朝方、うちの部署に脅迫状のようなものが送られてきました。警察に相談したらかなりの被害が出ると書かれていたので警察に連絡もできず困っていたらこちらをご紹介されまして。」
「なるほど………、脅迫状の内容はどう言った?」
「玄宮園にバク⚪を仕掛けた。被害を出したくなければ自分達の手で見つけ出してみろ。と書かれていました。
こちらが現物のコピーになります。」
いろはは渡されたコピーを見た。単純にパソコンでうたれた短い脅迫状だ。最後の方にP.Sとあり、『足りない頭でも八岐大蛇のように頭を増やせば妙案も浮かぶだろう。』と書かれていた。
「こちらはイタズラの可能性はないんですか?」
「文化財を扱う我々としてはイタズラではない可能性がゼロじゃないと決められないんですよ。
もし本当に何かされたら歴史的な文化財や景色を損なうかもしれないわけですから。」
「確かにそうですね。でも、玄宮園ならあなた方が一斉に調べれば見つかるんじゃないですか?」
「それが職員で午前中に探したのですが一切見つからず。
手入れはしてますが植物もあるのでなかなか手が回らない所などもありますからね。この追伸の部分が何かヒントなのではと思ったのですが人を増やしてみても解決しなかったので、これ自体が場所のヒントなのではないかと思ったんです。」
「わかりました。ご協力させてもらいます。
タイムリミットはいつまでですか?」
「それがどこにも書いてないんです。時限爆弾ではなく操作する系のやつなのかもしれないと我々もビクビクしながら探してました。」
色々とおかしな所がある話だったがいろはは興味が湧いたので、この仕事を受けることにした。




