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るー16

「そもそも高田さんはご両親から甘やかされて育って、良い学校に行って良い会社に入ってと経歴的には問題もなく順調に見えましたが、性格が受け入れられずに友人も昔からほとんどおられませんでした。プライドも高かったのでそう簡単に変われずあの歳になったわけですよ。

犬を飼い始めたのも寂しかったんじゃないですかね。」

「皆さんから歩み寄ったりはなかったんですか?」

いろはが聞くが皆が首を横にふった。

「声をかけたり色々としてみたんですが、もともと我々の事を見下してたので今さらどうもできなかったみたいですね。」

「本物のナッツちゃんはどうなったんですか?」

「まぁ、購入時からトイレとかのしつけはされていたみたいですし、臭いとかもあるからトイレの片付けとかは高田さんもしていたみたいですが、性格的にこまめに面倒見たり散歩したりできるわけもなく気がついた時にご飯をあげたり、リードもつけずに放し飼いにしたりしてたわけですよ。

ご飯が貰えなかったからなのか生け垣の隙間から脱走してたまたま通りかかった車にひかれてましてね。

車はたぶんそのまま逃げちゃったんだと思うんですが道に死体だけが残ってましてね。

高田さんにその事を言っても病気のせいであまり理解して貰えなくて。最近では夜中にナッツちゃんを探して徘徊するようになったのでどうにかしないといけないと思ってた所に強い衝撃的な事ならあの病気の人にも効果があるって知って、今回の事を思いついたんです。たまたま同じ犬種の飼い犬が死んだので使わせて貰ったりもしてね。」

「まぁ、その点に関しては効果があったみたいですね。

ナッツちゃんは死んだと高田さんは本気で思ってますし、自分の病気についても向き合ってはもらえるようになりましたから。」

「そうですか。それで我々はどう言った罰を受けることになりますか?」

「おそらく何もないと思います。

高田さんは被害届を取り下げられましたし、荷物も整理して近々認知症系の施設に入ると決まったので。」

「そうですか。」

「警察の方には色々な事情を説明してできるだけ穏便に済ませるようにお願いしときました。

まあ、お説教くらいはされるかもしれませんけどね。」

町内会の人達は安心したように息をついた。結局、警察の方からは厳重注意という結果になったらしい。

後日、高田さんの家の片づけを手伝っているとナッツちゃんの寝床のタオルの中から絵札を見つけた。

『留守居役 桜田門の 知らせ聞く』これは井伊直弼が桜田門外の変で暗殺された事を彦根城で城代をしていた者達に知らされた時の事を詠った句だろう。

またしても謎の彦根かるたがあった事に驚いた。

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