るー4
何軒かチャイムを鳴らしてみたが反応がなく、諦めかけた家で60代くらいの男性が出てくれた。
「何かの勧誘ですか?それとも販売ですか?」
「すみません、高田さんのお宅のナッツちゃんというチワワが行方不明になりまして捜索を依頼された者なんです。
逃げてる所を目撃した人や不審者がいなかったかなどの聞き取りから、ナッツちゃんについて何か知らないかなどを聞いて回らせて貰ってます。」
「ああ、あそこのうるさい犬ですか。
特に怪しい人がいたとかはないですね。そもそも、つながずに放ったらかしにしておいて、いなくなったかから探しくれなんて都合が良すぎるんですよ。この辺の人であそこの犬の事を良く言う人はいないと思いますよ。少し前ですけど、80代のおばあさんが歩いてた所に急に飛びかかって大怪我させたなんて事もありました。なのに、今でも放し飼いで対策もされてないって話だから悪質ですよ。」
「そのおばあさんはどうなったんですか?」
タモンが聞くと男性は
「この先のところに住んでる友人宅を訪れてたらしいんですが、倒れた時に足の骨が折れたらしいですよ。あのくらいの歳だと寝たきりになったりとかもあるんじゃないですか?
高田さんのところは両親は早めに亡くなってるし結婚もしてないし子供もいない上に良い所の会社に行かれてるからお金持ちではあるらしく多額の治療費と慰謝料払って無かったことにしたらしいですよ。」
「そのおばあさんの家族は文句を言わなかったんですか?」
「被害に合ったおばさんが犬好きだったのとあまり人にものが言えない穏和な人だったらしく、受け入れたから家族としては文句があってもそれ以上は何もできなかったらしいですよ。」
「なるほど。その家族なら恨みがあるな。友人って人もやり方さえ考えればできない事もないか。」
タモンがぶつぶつと言うと
「恨まれるってなんですか?逃げただけじゃないですか?」
「実は誘拐された可能性がありまして、血統書つきの犬だから転売目的とか身代金目当ての誘拐もあり得るかなと思ってるんです。高田さんは誘拐されたの一択なんでどうなのかも含めて情報を集めてるんですよ。」
「この辺の人からすれば血統書があろうがあそこまでしつけのなってない犬に価値はないですし、いなくなってくれた方が嬉しいと思う人の方が多いと思いますよ。」
「そうですか。ありがとうございます。ちなみになんですが被害に遭われたおばあさんとその方の友人の名前とかわかりますか?」
「被害者の方はわからないですが友人の方は山中さんですよ。」
「ありがとうございます。」
色々と聞いたがやはり高田さんの犬の評判は悪いものしかなかった。




