にー9
「いやーかなり面白い調査をお願いしてもらって感謝ですね。」
小窪は楽しそうに言った。考古学者である小窪は以前に西今町の未発見の遺跡があるのではないかという調査を行った時に知り合った。今回の落書きに使われた紙を調べてもらっていた。その報告を直接聞いていた。
「ガラスから何かわかったんですか?」
「割れていた部分もあったので確実に言える事とかはないですが、ガラスの一部から墨の成分が検出されました。墨で何かが書かれていた可能性はありました。その墨の成分が多く付着していた部分を調べると額縁の大きさ的に真ん中の方に多くありました。まあ、墨なんで色々あって消えてしまったんでしょう。」
「成分量とかから何が書かれてたとかはわからないですか?」
「水に流れてしまっていた場合は成分量も減ってしまうので何とも言えないですね。どうやって消えてしまったのかにもよりますが大きな何かが書かれていたとは思えないですね。」
「たぶん落書きの絵と合わせて何かを示すような感じだとするならどう思いますか?」
「まあ、そうなるとその場所を表す〇とか×とかを書いてあればそれで伝わりますね。」
「ですよね、その場所を特定できてればいんですけどね。」
「そもそもなんですが、ただの風景画とかの可能性もあるわけじゃないですか。場所を示すにしても宝があると考えるのも安直だと思います。古民家から出てきた古い紙に書かれている暗号的な物を見れば夢を見たいというのもわかりますが、今までの考古学者としての経験から空振りに終わる可能性の方が高そうですね。」
「その可能性は十分にありますよね。お宝がそんな簡単に見つかるとは思えないですもんね。」
「難しいですけど、まあ未発見のお宝とかもあるかもしれませんからね。
ところで今日はタモンさんはおられないんですか?」
「何か聞き込みがあるとかで出かけられてますね。誰に何を聞きに行ったのかわからないですけどね。」
「お宝が見つかれば大発見ですがそうもいかないのが現実ですからね。有力情報の一つでもあれば方針も決まりそうですね。」
「そうなる事を願いますね。」




