にー8
「ふぅ、一休みするか。」
依頼主である鈴木は作業を一段落させていったん外に出て伸びをした。するといきなり
「あっ、鈴木さんお疲れ様です。」
女性の声がしたのでそちらを向くと探偵の女性が立っていた。確か松木さんといったとはずだ。
「どうしてこちらに?」
依頼で連れて行った家とは別の場所で今日は作業していたので驚きが隠せなかった。
「ああ、こちらの方のお宅におられるって聞いたので来てみました。」
「そうなんですね。今日は何か御用でもあったんですか?」
「実は鈴木さんが作業を手伝ってもらってる人たちに少しお話を聞いたんですけど、面白い話が聞けたので詳しくお願いしたいなと思いまして。」
「面白い話ですか?なんでしょう?」
「あの持ち込まれた絵には額縁があったという話を聞きました。まあ、知られたくない話とかもあるのかなとは思ったんですけど依頼の解決がなかなか進まないのでわらにもすがる思いなんですよ。」
「う~んそうなると出し惜しみしてる場合でもない感じですね。
確かに額縁に入ってましたよ。木の額縁にガラスがはめ込まれた感じのものでした。ですが、木の部分が朽ちかけていたわけでして、さらにガラスも所々割れてたりしたので取り出したんですよ。別に隠したとかじゃなくただ邪魔になったので額縁はとったという感じですね。」
「なるほど・・・割れたガラスとかどうしたんですか?」
「ああ、倉庫に置いてありますよ。ガラスとかはすぐには捨てられないですから。」
「見せてもらう事はできますよね?」
「もちろん大丈夫ですよ。割れてなくなってた部分とかもありますが残っていた部分には特に何もなかったですよ。」
「紙の品質が江戸後期の物だったらしいのでその時代に描かれたものならすでに消えてしまってる可能性もありますね。専門家にお願いして調べてみようかなと思いますので預からせてもらっていいですか?」
「まあいいですよ。何か見つかる事を期待してますよ。」
その後、割れたガラスを拝借していろはは戻った。




